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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

マリリン・モンローの最期を知る男:ミシェル・シュネーデル ~読了

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原題は〔Marilyn dernieres seances〕なので、
マリリン・モンロー 最期の時〕とでも訳すのだろうか?

彼女の死を巡っては、「自殺だ」「いや、他殺だ」と議論百出。
本も多く出版されている。

本書は『マリリン・モンロー』の最後の精神分析医で、かつ
彼女の生きている姿を最後に見、また死体の第一発見者でもある
『ラルフ・グリースン』との関わりが綴られている。
彼は、まさに(和名のタイトル通り)、「モンローの最後を
知っている」わけだ。

いや、読むのに時間が掛かった。
厚さもそうだけど(4cm以上ある)、時間と場所があちこちに飛ぶので、
時系列に整理するのに骨が折れる。人間関係も複雑で、相関図がないとかなり辛い。
また、内容が重いしな。
続けて読んでいると、著しく疲労してしまうんだ。

しかし、ハリウッドのスターや監督といった人達が、
こんなに精神分析を受けていたなんて、初めて知った。
確かに精神的に疲れる職業だからなぁ。
病んでしまうこともあるのだろう。

その中でも彼女は不安定さが際立っており、精神分析医への依存が
かなり強いことが、まず語られる。
そして、本来は”分析医”であるはずの『グリースン』との奇妙な関係が、
より濃密になっていく過程も。

本書では死の真相が暴かれているいるわけでもない。また彼女の男性関係
(例えば、あの「ハッピバースデー、ディア、プレジデント」と唄った相手とか)も、
ぼやかして描いている。

いみじくも著者が「あとがき」で触れているように、
かなりの資料が非公開であるため、ノンフィクションとノベルの、
丁度中間のような(ある意味、中途半端な)形式になってしまっている。

それでも、世紀の大女優の生まれてから死ぬまでの、四十年弱を追体験
(特に死ぬ直前の数年間は、かなり詳細に)できる。
ある程度、映画や文学に詳しければ、彼女の周りの
映画作品・スター・監督、小説や作家の人となりや交わりもよく分かる。

でも、読後に残るのは、何とも言えない”やるせなさ”だ。
どうして、歯車はこの方向に廻ってしまったのかと・・・・。