RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

リアル 完全なる首長竜の日@チネチッタ川崎 2013年6月1日(土)

本日が初日。

席数407と大き目の【CINE 11】は六割程度の入り。
客層は女性とカップルが多いのだが、
お年寄りが孫と来ている姿も散見され、
正直、良く判らない鑑賞者達だなぁ。

イメージ 1


同棲相手の漫画家『和淳美(綾瀬はるか)』が自殺未遂の後
植物状態になって一年、
『藤田浩市(佐藤健)』は最新の技術「センシング」を使い、
彼女の脳に直接コンタクトを取ろうとしていた。

最初の試みで、無事に彼女の意識との接触を果たせたものの、
小学生時代に描いて渡したという「首長竜」の画を探すように言われ
困惑する『浩市』。

更には「センシング」を繰り返す内に、
仮想と現実の区別が曖昧になり、
次第に幻影さえ見る様になって行く。


まあ『インセプション』の時にも感じだことだが、
意識下への接触という題材だけを考えると、
『パプリカ』に勝る作品はそうは無い。

更に、映像の迫力だけを取って見れば、『インセプション』は
(中身の出来は兎も角)相当のものだ。

なので本作、
何れの点でも過去作品を凌駕できておらず、
正直かなりがっかりしてしまった。


中途、それらしいどんでん返しはあるものの、
余りにも淡々とし、
「え~っつ、なんですって!」という驚きは微塵も無い。

幾つか提示されている伏線に対しては、
鼻っからしっくりと来ないざらつき感が先に立つ。

タイムトラベルものにはつきものの「パラドクス」、
本作でも類似した違和感が最初からあり、
それを補うためだろうか
無表情な医師『相原(中谷美紀)』が狂言廻しとして出て来るが、
取って付けた様に語る解説や行為にも納得感が薄く、
何のための存在なのかがイマイチ弱い。


ミステリーにしたいのかホラーにしたいのか
サスペンスにしたいのか、愛情物語にしたいのか、
軸足の定まらない中途半端な展開も、どうにも不満。

現実世界と仮想世界、
更には過去の記憶の世界を往還しながら進む脚本は
立て付けが定まっていないので、
観る側も困惑してしまう。


全体的にぎくしゃくした流れは
抑圧されていた記憶が実態化した時に最高潮に達するのだが、
ケリの付け方が余りにもステレオタイプでありきたり
フロイト』的な、精神分析的な解決の枠を出るものではなく、
相当に残念な一作となってしまった。


評価は☆五点満点で☆☆☆。

「このミス」大賞を取った原作は勿論未読だけど、
こんなにつまらないストーリー立てではないと信じたい。