RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

真夜中の五分前@チネチッタ川崎 2014年12月30日(火)

封切り四日目。

席数191の【CINE 10】の入りは二割ほど。

客層はもっと「春馬クン大好き」な妙齢の女性で溢れているかと思ったら、
カップルや中年男性が多く、「サスペンス」「ミステリー」などの惹句が
効いている様子。


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上海の時計店で修理工として働いている日本人青年『良(三浦春馬)』は
ふとしたきっかけで『ルーメイ/ルオラン(リウ・シーシー)』の一卵性双生児の姉妹と親しくなる。
姿形は瓜二つだが、性格は陰と陽ほども離れている二人。

『ルーメイ』の婚約者『ティエルン(ジョセフ・チャン)』も含めた四人は、
夫々の葛藤を抱えつつも、日々を過ごしていたが、
姉妹で出かけた旅先で事故に遭い、一人は亡くなり、一人が生き残る。
生き残ったのは『ルーメイ』だというのだが・・・・。


直近では〔さよならドビュッシー〕でもあるように、
二人の内、一人だけが生き残ったことに起因するミステリー。

やや使い古されたテーマではあるけれど、
本作では姉妹の記憶が最初から意図せずして混交していることが
一つのキモになっている。


前半かなりの時間を使い、『良』と『ルオラン』の距離が
少しずつ縮まって行く過程が描かれる。

何となれば、元々『ティエルン』は『ルオラン』と付き合っていたのだから。

また『良』にしても、過去の亡霊を引きずっており、
それがタイトルにある「五分前」に表現されているのだが、
この設定が後々の幾つかの描写の伏線となっている。


後半はほぼ、生き残ったのはホントはどちらなのか?
の解明に費やされる。

思わせぶりなヒントは幾つも提示されるが、劇中の男性達は勿論、
観客の側も、はっきりと断定できる決め手には至らない。

『ルーメイ』(と、思われる女性)にしても、
周りから幾度となくホントはどちらなのかの確認をされる内に、
次第に自己の存在が揺らぎ始める。

冒頭から描かれている様に、二人の記憶や体験は
どれがどちらのものかは曖昧で、
これは自分に置き換えてみればすぐにも判ることだが、
成長してから見た昔の写真から、過去の記憶が形成されてしまう
そんなことが、ただでさえ結びつきの強い姉妹には
頻繁に起きており、本人達でさえ彼我の境界はぼやけていることが
折にふれ語られる。

それにしても、幼い頃の二人の服装が「赤」と「黒」なのは象徴的で、
ルーレットやトランプの色を含め表裏一体なコトのメタファーとみた。


もやもやとした気持ちを抱えながら向かえるラストシーンは
かなり余韻の残るものではあるけれど、
これはこれでアリかと。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。


エンドロールをながめていると
原作は「A面」と「B面」に分かれているようで(どこかで聞いた話しだ)、
そちらではどんな展開になっているのだろう。

本作はあくまでも、基本設定だけを頂いた感があるけれど。