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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ケンとメリー 雨あがりの夜空に@109シネマズ川崎 2013年11月17日(日)

公開二週目に突入。

席数89の【シアター9】の入りは
10人と(数えてました)かなり寂しい。

何しろ、最初は自分独りだったもんな、
客席に座っているの。
このまま開映したら困ると、
ドキドキしちゃった。

先の作品も含めて
Web上での見られ方はつまびらかになってないが、
劇場での上映は成功とは言い難いんじゃぁないだろうか。


イメージ 1


自分等の世代には
「ケンメリ」=70年代
『RC』=80年代初頭
の象徴。

実際、大学時代の同級生に「2000GT」を
乗り回していたヤツが居たけど、それほど時代を代表する
(どちらも)イコンであった。

翻って本作、内容はと言うと、
タイトルは単純に借りて来ただけで
往時を思わせる仕掛けは殆どなく、
単なる語呂合わせに堕している。

思えば監督の『深作健太』はまだ四十代、
当時を知るべくもないわな。


娘『縁(北乃きい)』の結婚式に出席するため、
クアラルンプールを目指した父親の『片倉健(竹中直人)』だったが、
中途荒天の為、名も知らない僻地の空港に着陸してしまう。

翌日の式に間に合う様、移動の手段を模索する『健』だが
思うに任せず、そうこうしている内に、
中国人のトラック運転手『メリー(フー・ビン)』が現れ、
彼と一緒に娘の元を目指すことになる。


所謂ロードムービーの要諦の一番は、
その旅に出る為の経緯。本作は
父と娘の関係性の背景も含め、
そこいら辺は良く描けている。

中途の障害はお約束通り。ただ、
起きる経緯も、その解決も
取って付けた様に唐突で頗るご都合主義、
まるっきり良くない。

竹中直人』は、オーバーアクトの典型例。
娘を想う気持ちも、サラリーマンとしての悲哀も
悪い意味でしか表出していない。


要は人物の造形が浅く、
造り込みも薄っぺらなので、
各々のエピソードがまるっきり生きて来ない。


評価は☆五点満点で☆☆☆。

ワンアイディアは買うが、尺と予算の関係だろうか
全ての経緯が口頭での説明に終わってしまっている。

中途の肉付けがもっと良く出来ていれば
小品ながらも快作になったであろうに。

頗る不幸な一作としか言いようがない。