RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

カノジョは嘘を愛しすぎてる@109シネマズ川崎 2013年12月28日(土)

封切り三週目。

席数の72の【シアター10】は満員。
凄まじいのは、その客層で、
男性が自分も入れて四人しかいないのは
利休にたずねよ〕同様だが、
こちらは、女子小・中・高生が大方を占める。

主演の『佐藤健』のチカラか
それとも原作の威力か。

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少女漫画を映画化するのは
頗る難しい。

(前に書いたかもしれないが)失敗例は〔プライド〕@『一条ゆかり』。
とっても嘘くさくなって観ていられたものではない。
こんな人間、いね~よ、って。主人公の造形が鼻に付いてしまう。

成功例は〔天然コケッコー〕@『くらもちふさこ』なのだが、
こちらは等身大の生身の人間に置き換えが上手く行っている稀な例。


で、本作。漫画の世界観をそのままに、
映像化することに成功している。


例えば、最初に主人公『秋(佐藤健)』が『小枝理子(大原櫻子)』と
出会うシーン。

作り物臭さはふんぷんとしており、如何にも少女漫画的な
ボーイ・ミーツ・ガールの世界観ながら、
服を掴まえる時の「はっし」とか「しっか」といった
擬音の吹き出しさえ聞こえて来そうなのだ。


佐藤健』は〔BECK〕に続いて、声に
取りつかれる役を好演。

しかし、素晴らしいのは『大原櫻子』で、
(問題となる)声と、その歌唱力は相当のモノ。


嘗て〔黒帯〕と言う映画があり、
空手の達人を役者として鍛え上げることで、
擬闘シーンを自然に魅せる、
逆転の発想の映画があったが、
本作はそれに近い。

声や歌は基本ができている彼女に演技を鍛え込むことで、
不自然さをクリアにしている。

容姿も含め、かなりくしゃっとしているし、
ややぎこちなさは残るものの、
それが次第に可愛く見えて来てしまうのだから
何とも不思議だ。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。

原作の選択を間違えず、
脚本をしっかりと造り込み、
正しい役者をキャスティングすれば、
秀作ができると言う好例。

世の制作者達は、是非見習って欲しい。