RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

凶悪@チネチッタ川崎 2013年9月23日(月)

封切り三日目。

しかし席数290と大き目の【CINE4】は
六割程度の入りと少々寂しい。

「R15+」指定であることから、
客層は高め、男女、または女性同士の連れ率高し。

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死刑判決を最高裁で係争中の元組員
『須藤(ピエール瀧)』からの手紙に導かれ
拘置所を訪れた記者『藤井(山田孝之)』に
『須藤』は嘗て自分が係り、しかし表沙汰にはなっていない
三つの殺人について告白する。

それには何れも『先生(リリー・フランキー)』と呼ばれる人物が関与し、
彼は何のお咎めも無く娑婆でのうのうと暮らしているという。

半信半疑で調査を開始した『藤井』だったが、やがて
『須藤』が話した内容と実際の出来事が符合していることに気づき、
取材にのめり込んで行く。


冒頭、フィクションである旨の一文が表示される。が、
原作は『新潮45』が告発した実際に起きた事件の記録。

それだけに、殺人が犯されるに至る経緯は
妙な迫真性がある。

なのに映画の造り自体が中途半端で
全くもって惜しいところ。


狂言廻しである『藤井』は、家庭内に有る事情を抱えており
それが都度描かれる。
しかし、本筋と何を対比させたのかったかが意味不明で、
却って話しのコシを折られた気分にさせられる。

本来であれば非情な犯罪者である『先生』も
妙な軽みを帯びた造形で、凄みが感じられない。

殺人が行われるシーンも同様で、
変な明るささえ漂い、悲惨さの欠片も無い。


そう本作は、最初から最後まで
ちぐはぐな描写の連続で、
『藤井』の役割さえもズレズレ、
オマケに彼の行動は(取材であることを割り引いても)ストーカーそのもので
存在自体が異質である。


評価は☆五点満点で☆☆☆★。

タイトルと(更にはポスター等の印刷物も含めて)
実映画の内容までもが合っていない。