RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

写真新世紀 東京展 2014@東京都写真美術館 2014年9月7日(日)

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優秀賞5名、佳作20名の作品が展示されている

今年は珍しく、「優秀賞」5名の作品を面白く観た。

うち三名、
『須藤絢乃』の〔幻影-Gespenster-〕
森本洋輔』の〔Yoyogipark,Shibuyaku,Tokyo〕
『山崎雄策』の〔「(佐藤 愛)」〕
は何れもが匿名性を帯びた作品群。


例えば、『須藤絢乃』の作品は、行方不明になった少女達の
当時のプロフィール等を踏まえて仮想し撮られた、
作者自身のセルフポートレイト。

非常に巧く意匠を纏っているので、ちょっと見同一人物とは思えない。

我々は、イマ目の前にある外見だけで彼女等を知り、
しかし、それ以外の知識は一切ない。

しかし、中には行方不明になっってから、それなりの年月を経過した場合もあり、
相応の変化は想定される。
それでも再び見つかるまでは、往時の状態を永遠の時の中に保っている。


森本洋輔』の作品は、そのキャプションを読むと
それだけで悲しくなってくる。

以前はモデルになってくれていた彼女と別れてしまったため、
公園や街で女性に声を掛け写真を撮らせてもらうようになったという
一連のスナップ、って、オイ、それでイイのか?
(イイのか。賞を取ったから)


『山崎雄策』の作品タイトルは20~30代の女性に
一番多い姓・名を組み合わせたもので成り立っている。

で、写っている女性達も、この世には存在しない。

一人の人物であっても、微妙に目鼻を細工し、
元の彼女とは違った形に加工してしまっている。

此処にいるのは、本人ではない誰か、だ。


一転して
『南阿沙美』の〔MATSUOKA!〕は激しく一人の女性にスポットをあびせた作品。

「ヒーロー写真が撮りたかった」という作者の弁を体現すべく、
小太りの女性がTシャツに短パン姿で雪山や砂浜、そして街の中で躍動する。

周囲の人はまるっきり気にも留めず(ヒーローなのに)、
本人だけが、これから悪を倒しに行くぞとの勢いで
画面の中ではじけている。

凄い。なんてお馬鹿さんなんだ。

それでも、画中の人物から眼が離せなくなってしまう。
たいした吸引力なのだ。


佳作の中では、少女と大人の間を微妙に揺蕩う
少女達の一瞬切り取った、
『大田綾花』の〔18歳の大人達〕が
おぢさんの目には、とっても眩しく映ったよ。


会期は~9月21日 (日) まで。