RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

真夏の方程式@109シネマズ川崎 2013年7月7日(日)

七夕だ。
何時もなら雨天が多い日だが、今日は抜ける様な青空。
若干風は強いものの、昨日来の熱波が続いている。


席数89と小さめの【シアター8】は
満席。

加えて、席数121の【シアター3】と
二館をパラでの運用だから、
チカラの入り方が判ろうと言うものだし、
凄い集客力だ。

客層は兎に角、まんべんない。
老若男女、形態も様々だ。


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『湯川学(福山雅治)』は
海底鉱物資源開発の説明会に、企業側のアドバイザーとして出席するため
【玻璃ヶ浦】の旅館に逗留する。

が、その翌日、同宿していた『塚原(塩見三省)』が
堤防下で変死体で発見される。

検死の結果が、他殺の可能性を示唆するものであったことに加え、
被害者が警視庁の元刑事であったことから
『草薙(北村一輝)』と『岸谷(吉高由里子)』が捜査に乗り出す。


『塚原』は十六年前に、自分が担当した殺人事件の真相を
今も追っており、その疑念を晴らすため、
『川畑重治 (前田吟)』と『節子(風吹ジュン)』夫婦と
娘の『成実(杏)』が経営している旅館をわざわざ訪れたことが明らかになる。


極めて異色な一作に見て取れる。

原作やTVドラマをさほど、読み込み・観込んでいるわけでは無いけれど、
常であれば、警察からのオファーで巻き込まれる『湯川』が、
本作では最初から事件の渦中におり、
真相の究明に自身からのめり込む。


その不自然さを中和するファクターとして、
『川畑』の親戚の子供で理科嫌いの『恭平(山﨑光)』を登場させるのだが、
一方で彼の存在が、事件のカギになることは
画面の節々でさりげなく示唆される。


舞台の季節が「真夏」であることからも明らかな様に、
本編には如何ともし難い亡霊の影が見て取れる。

それは〔容疑者Xの献身〕という名の
余りにも重い一作。

基本となる骨格は、前作の換骨奪胎に過ぎず、
観終わった後で、唖然としてしまった。

愛情の方向性を違えているものの、
直情な造りは
返す返すも残念で、六年経過したから時効
という建前でもあるまいに。


泣きの視点を強く入れることは
昨今の映画の潮流かもしれないが、
妙に白けてしまい、これは制作サイドの罪だろう。


親子の情愛を皮相な視点で描いた〔秘密7〕by『清水玲子
の方がより深層を抉っており、
激しく、見習って欲しいモノだと思う。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

ただ、
作品の発表が前後していれば
また異なる感想を持っていたかもしれない。