RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

第29回 損保ジャパン美術財団 選抜奨励展 2010年3月27日(土)

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一般の入場料は500円だが、
事前に300円で購入済み。
平面と立体、約八十点弱が展示。

総じて、「記憶」や「時」を感じさせる作品が多かった。

『松永弘』の〔消えゆく遺産〕は【足尾銅山】の精錬所を描いた水彩画。
時が止まった様な無人の廃墟は、赤く変色し、今にも朽ち落ちそうだ。

『水野暁』の〔The River α+〕は水辺の風景を水墨の様な灰色で描いた作品。
驚かされるのは、その圧倒的な画力。超リアリズムだ。
画面の奥は、ダムを思わせる高いコンクリートの壁で覆われ、
またコンクリートブロックが転がる河川は、最早生きているのだろうか?

『濵田尚吾』の〔記憶に咲く花〕は鯨や鳥が橋の欄干に、
蔦で絡め取られている。
画面の全てのモノ達は、大きさを無視して描かれる。
何時から、其処に在るのだろう?
鯨は眠っているように、そして満足そうに。

『福田利明』の〔時間のしぐさ〕は砂で作られたドア(それとも窓か?)が
幾つも砂浜に並んでいる。
エアブラシで描かれた作品は、限りなくリアル。
本物の砂で作られたように、その質感も感じられる。
時間の経過と共に、あるものは風化して形が崩れ、
あるものは存在すら消えうせそうだ。

写実的な作品、抽象画、シュールと、バランスよく展示されている。
立体も含めて、最初から取っ付けない作品はなく、かなりの充実感あり。
が、『鈴木涼子』の〔ANIKORA KAWAII〕みたいに、一瞬引いちゃう作品もあるんだけどね。