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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

コレクションによる企画展 絵画の、あつみ 日本の絵画はうすっぺらか?@練馬区立美術館 2009年8月23日(日)

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何ともセンセーショナルなタイトルではある。
でも中身は企画力の勝利、といったところか。

夏休みの宿題をこなす子供をメインターゲットにしただが、
実際は大人も(勿論、かなり美術館巡りをしている人でも)十分に楽しめる
無料の展示会。
夏休みの美術館レポートは功罪あい半ばすると(個人的には)思っているけど、
これは良い側面が出た好例。

先ず”絵画の裏側、外側”と題して、
普段見ることの無い作品の裏側を見せてくれる。
出展した展示会毎の出展票が複数貼り付けられていたり、
キャンバスの後に手紙が書かれていたり!

次いで”掛け軸と屏風”では、
『深水』の〔瞳〕を額縁から外して。
画の端の様子まで、見ることができる。
『早川芳彦』の二曲一双の屏風に到っては、ケースもガラスも
遮るものが何も無く、そのままをさりげなく。
描かれている蒲公英の胡粉の盛り上り、
絞りの模様も、着物毎に顔料の厚みを変えたりと、
細かい細工が手に取るように分かる。

”和額とマット”。キチンと保管することが、どれほど大事かが、
まず語られる。
『堂本印象』の〔美人図〕は折り目がついているものが、
そのまま額装され架けられている。

最終”絵画と影”。
場内の照明はかなり落とされ、懐中電灯を持って中に入る。
これで各部分を照らして見ると、陰影がよりはっきりするという趣向。
特に『白髪一雄』の〔文覚 滝の行〕。
白と黒の盛り上がった絵の具で表現される力強い水の流れが、
スポットの様にライトを当てることで、より迫ってくる。

点数は全65と、さほど多くは無い。でも、
数々の額縁や表装用の見本、絹本の実物なども置かれ、
鑑賞と共に学べることも多い企画展。
修復の過程写真や、終了後の実物も同展されている。

作家だけを見ても『鏑木清方』あり『荒木十畝』ありで、充実度高。
激しくお奨め(って、今日までだし。また同様の企画展を、是非希望)。