『とよや』
の跡地にできた、カウンター四席、四人掛けのテーブル一卓の小体なお店。
【大井町】からの距離はあるし、【青物横丁】からは急な坂だし、
【鮫洲】からは更に急な坂で、集客大丈夫なんかい、と
他人事ながら心配になってしまう。
当日は一週間前にWebで訪問。
我々の前には既に二組の何れも初老の先客。
料理七品+〆の麺の《福膳》コース(6,500円 税・サ別) を味わいながら日本酒を楽しむ。
《先付け》は蟹の土佐酢ジュレ。
味噌は入ってないものの、解した身もたっぷり子もたっぷり。
軽い酸味と出汁がある土佐酢の旨味も相俟って上々の滑り出し。
《お椀》は金目鯛(写真、撮り忘れ)。
塗りの蓋を開けた途端に出汁の好い香りがふわりと。
油が乗った切り身の処理も上々でカラダも温まる。
《向付》は鰹。
芽葱が添えられ、味付けは醤油・胡麻油。
ぶ厚く切り出された戻り鰹はたっぷりとしながらも爽快さも感じる口当たり。
《八寸》の代わりと思われる、雲丹の茶碗蒸し。
小粒な雲丹は濃厚。出汁は滑らかで、旨味を残しながら口の中でさっと溶けて行く。
同じく、海老の唐揚げ。
海老はかりさくで塩の加減が上々。
《焼き物》は秋刀魚。
たぶん今年最初で最後の秋刀魚。
身も厚く脂も乗っている。
また添えられた骨煎餅が激ウマ。これだけでビール一杯飲めちゃうくらい。
茄子も付け合わされて、これってまだ秋茄子?
《炊き合わせ》の位置付けだろうか。煮穴子。
厚い身がふっくらと茹り、とっても軟らか。
甘めのツメがさっとかかり、やはり穴子にはこれでしょ。
その下には湯葉がたっぷり。出汁餡を纏い美味しい。
付け合わせの銀杏も大振りで美しい翡翠色。嬉しいなぁ。
《〆の麺》は茸入りの稲庭饂飩。
量は少ないものの、しゃきっとした麺に旬の茸、
出汁の取り合わせはやはり最強。
最初の一杯こそビール(赤星)としたものの、その後は女将と相談しながら
日本酒を五種ほど何れもお燗で。
ぐい呑み一杯が90㎖とのことなので、そこそこ呑んだかも。
払いは〆て2.3万円と、思いの外安く上がったな。
評価は、和食店基準の☆五点満点で
☆☆☆☆。
調理の大将と利き酒師の女将の息もぴったりと合った
なかなかの良店。