RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

アバウト・タイム~愛おしい時間について~@TOHOシネマズ六本木ヒルズ 2014年10月14日(月)

封切り三週目。

席数642と標題館で最大の【SCREEN7】の入りは一割程度。
客層は中年女性の複数連れや、カップルが多い。


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『ティム(ドーナル・グリーソン)』は21歳の誕生日に、父親から
自分の一族についての衝撃的な事実を告げられる。


それは、この家系に生まれた男子は
誰もがタイムトラベルの能力を持ち、
特段の努力や訓練は要らず
いとも簡単にに実行できる、というもの。

但し、幾つかの制限事項があり、
最初に父親からの知識として与えられているものもあれば、
何回かの失敗を繰り返すうちに、自然と体得するものもある。

例えば、
・過去には行けるが未来へは行くことができない
・自分が居たことのある場所であれば、時空を自在に移動できる
・もう一人の自分としてではなく、あくまでも当時の自分の意識の中にテレポートする
・不用意な行動をすれば、未来が変わってしまう可能性がある
これらの設定が、お話の展開として、後々効いて来る。


早速、そのチカラを試してみる『ティム』。

失敗を克服するため、
何度も何度も同じ場面に戻ってやり直し、
未来を変えようとする(ここいら辺、〔オール・ユー・ニード・イズ・キル〕に似ている。
かなりカタチは変えているけど)。

タイムトラベを繰り返すことで
特に体力等を消費するわけではなく、
結果を見たければ現時点まで戻れば良い。
極めて安直に結末が確認できてしまう。


しかし、やがて気づく、
チカラはけして万能ではないことを。
そして、時に手痛いしっぺ返しを喰らうことで、
全てが丸く収まる解決策など無く、
何かを得るためには、何かを犠牲にしなくてはいけないことを。

時空を移動して、再び三度の人生をやり直せば、
理論的にはけして死ぬことはない。
ただ、彼の祖父や曽祖父達は、そういった方法は取らなかった、
何故か?

短い間でも触れ合うことで、
いかにそれらが愛おしく大切に思えるか。
不満なことが多かった一日でも、
実はそれがどれだけ輝きに満ちた時間だったのか。
観終わった後で、我々は再度そのことを認識することになる。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。

タイムパラドクスはありまくりで、
仕掛けとしては破綻しているんだけど、
それを凌駕する切なさに満ちた一作。
必見。