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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

オール・ユー・ニード・イズ・キル@チネチッタ川崎 2014年7月23日(水)

封切り三週目。
席数244の【CINE6】の入りは六割程度。


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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー〕('84)では
同じ一日が何度も何度も繰り返される。
『あたる』達は、何とかこの連環から抜け出そうと奮闘する。

〔リプレィ〕('87)では、一旦死んでも、
過去の同一時点に戻り意識が再生する。
主人公は何度も何度もこれを繰り返す。
やがて現れる同志の存在も含め、プロットは本作と近似している。

要は、本作のプロット自体に目新しさはないし、日本のラノベ
特有の技でもないということだ。ただ、多用はされているみたいだが。


宇宙からの知的生命体「ギタイ」の侵略を受けた人類は
やがて反撃を開始し、
第二次大戦の「D-デイ」を連想させる大規模な反抗作戦を展開する。

心ならずもその戦闘に巻き込まれてしまった、
米軍の広報将校『ウィリアム・ケイジ(トム・クルーズ)』は、あっけなく戦死をするが、
その際に、過去のある時点に戻って意識が再生する能力
「ループ」を身に着ける
(ここいら辺、観客の側は『クルーズ』のマッチョさを知っているのを逆手に取り、
意図的にヘタレを演じているのは面白い)。

その理屈は、ザ・SF的なものだが、
侵略者が圧倒的な強さを見せる説明にもなっており、
ある程度の納得感はある。

再生するごとに、『ケイジ』は強くなっていく。
が、それは〔ドラゴンボール〕でお馴染みの、瀕死の状態からの再生で
戦闘力がUPする類ではなく、生き抜く時間が少しづつ長くなっていくことによる。

それはそうだろう、なんといっても主人公には、
次に起きることが予め見えているのだから。

やがて『ケイジ』は戦場の女神と称される『リタ・ヴラタスキ(エミリー・ブラント)』と共闘を結ぶ。
『リタ』もまた、嘗て「ループ」の能力を持っていたが今は無い。
そのことについても頗る合理的な説明がなされ、
タイムパラドクス(この場合は、
同時に死ななければ、それまでの知識は共有されない)を鮮やかにクリアしてみせる。


多くの作品では、繰り返しの先に何があるのか、
そしてどうすれば終わらせることができるのかは見えていない。

しかし、本作では、最初からその方法は明示されている。
要は「ギタイ」を倒せば良い。
二人はそれに向かって邁進する。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

過去の良作から特異点を頂き、
しかし独自にひねりを加えることで、
極めて質の高い一作に昇華している。