RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ジゴロ・イン・ニューヨーク@TOHOシネマズシャンテ 2014年7月14日(月)

封切り四日目。

席数201の【CHANTER-2】の入りは四割程度。

層はやや高齢に振れ、男女比は半々。


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本数を多くこなしているからと言って、
必ずしも良い映画の観方ができるわけではない。

が、経験が豊富であるほど、
色んな事が想起され、鑑賞に深みが出ることに間違いはないだろう。

標題作を観ていて、二つの作品を思い出した。

一つ目は、主演の『ウディ・アレン』が脚本・主演の〔ボギー!俺も男だ〕。
そして、その元ネタとなった〔カサブランカ〕。

そう、実は本作は、
オトコの友情の物語なのだ。


ブルックリンで
祖父~父親と引き継いで来た本屋を潰してしまった
『マレー(ウディ・アレン)』。

彼の古くからの友人で
定職を持たず、いい歳をして
花屋でアルバイトをしている『フィオラヴァンテ(ジョン・タトゥーロ)』を使い
男娼ビジネスをすることを思い付く。

で、これが大当たり。
男臭く、しかし洗練された物腰の『フィオラヴァンテ』に
多くの有閑マダム達はメロメロで、二人の懐には大金が転がり込む。

しかし肝心の彼が、『マレー』の知り合いでもある
戒律の厳しいユダヤ教徒の未亡人『アヴィガル(バネッサ・パラディ)』に
ホントの恋をしてしまったことから、二人の目論みは崩れ出す。

この恋と、二人のビジネスの行方は、一体どうなるのか。


いや~、楽しませて貰った。

爆笑の連続、というわけにはいかないが、小気味の良い
エスプリの効いた笑いどころが次から次へと繰り出される。

まるで『アレン』本人の監督・脚本のようだが、
もう一人の主人公である『ジョン・タトゥーロ』の手になるものだと知り
更に驚く。

『アレン』自身がそうである
ユダヤ人達の偏狭なコミュニティを徹底的に笑い倒し、
しかし、実は寂しいブルックリンのアッパークラスの住人に比べ
遥に暖かい気持ちに満ちている人々であることをさらりと見せ
ほろりとさせる。

監督した作品の数が少ない割には、妙味に満ちている。


そして最後には、二人の男の新しい友情が始まる兆しを見せ、
爽やかに幕を閉じる。

観客の側にさえ、小さな幸せが舞い降りて来そうだ。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

しかし、宗教的に際どい科白や場面を盛り込み、
本国での上映は問題なかったのだろうか。

他人事ながら、気になって仕方が無かった。