RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

チョコレートドーナツ@109シネマズ川崎 2014年5月10日(土)

4月中旬から一部劇場で先行ロードショー。
5月に入り拡大上映され、当劇場では本日が初日。

席数89の【シアター9】はSOLDOUTで満員

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『ルディ(アラン・カミング)』と『ポール(ギャレット・ディラハント)』の
ゲイのカップルが、実の母親からネグレクトされたダウン症の少年『マルコ』を引き取り
疑似的な家族関係を結ぶ。
しかし三人の慈愛に満ちた暮らしは、やがて
司直の手によって引き裂かれてしまう。


実話を基にした物語という。

現代であれば、違和感なく受け入れられる関係も
舞台は1979年のカリフォルニア。
前年には〔ミルク〕でも描かれた『ハーヴェイ・ミルク』が
ゲイだという理由だけで射殺されている。

それだけ、性的マイノリティーにとっても障碍者にとっても生きにくかった時代。
映画では、その周辺の事情を、冒頭の数分でさらりと描いてみせる。
衝撃的ではあるが手練れた造り。


本人達が幸せであればそれで十分なはずなのに、
周囲の偏見や勝手な思い込みだけで、
社会的な倫理を振りかざし、
幸福を破壊してしまう。

彼等はなまじ、それを正義だと思い込んでいるので
始末が悪い。


家族とはなんなのか、
愛情とはなんなのか、
母性とはなんなのか、と
根源的なテーゼを本作は眼前に付き付ける。

それは、
血の繋がりでも
性差でも
一緒に居る時間の長さでも
必ずしも無い。

ココロとココロが触れ合う瞬間なのだと
如実に教えてくれる。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。


劇中で流される音楽が
またふるっている。

例えば『T・レックス』。
マーク・ボラン』自身がバイであったことを考慮すると
この選曲にはニヤリとさせられる。

勿論、当の曲が流れて来るのは
『マルコ』の(薬物中毒の)母親のアパートの部屋から
だということも含めてなのだが。