RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

フルートベール駅で@チネチッタ川崎 2014年3月23日(日)

封切り三日目。
席数154の【CINE 9】の入りは八割程度。

「PG12」だけあって、年齢は高めに振れてはいるのだが、
物凄い暴力シーンがある訳で無し、スプラッターがある訳で無し、
思い至るのは「クスリ」くらいだが・・・・。

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サンダンス映画祭」で
作品・観客のダブルで受賞をしたことからも判るように
本作はかなりの小品。
尺も九十分を切っている。


例によって、「実話であること」の注意書きが
提示される。

2009年の新年早朝「フルートベール駅」で黒人青年が警官に射殺される。
本作は、その事件を題に取っている。

冒頭、居合わせた乗客が撮影した
その場の実際の映像が流される。
確かに、撃たれた青年は無抵抗に見える。


しかし主人公の『オスカー・グラント(マイケル・B・ジョーダン)』とて、
それほど清廉潔白な人間ではない。

クスリの売買で逮捕歴があり、その時は
母親や妻にも見放されそうになる。

責任感の無い勤務態度で、仕事も解雇され、家賃の支払いに追われ
八方塞がりの状態。


それでも、その日その日を、親族や友人達を思いながら
明るく振舞い、暮らしている。

映画は殺された『オスカー』の最後の一日を
慈しむ様に描写する。


短い尺のせいもあろうが、
無駄な会話やシーンは極力排除されている。
その分我々には、行間を読みながらの鑑賞が必要とされるが、
却って、全体の出来に余韻を与えている。

例えば、何気ない一言が、不幸への導火線になる経緯。
しかし、そのアドバイスが正しかったことは
街の情景をさらりと捉えるショットで雄弁に語らせ、
余計な説明はしない。

若干27歳とは思えない、監督の才の煌きだ。


そしてエンディングでは
現在の様子が再度実写で流される。

不可解な裁判の結果に声を上げる市民が
肌の色は関係なく、正義を求めて強くあることに
ココロが震えてしまう
(勿論、コトが起きた現場でも、
かなりの人が正しい行動をとってはいたのだが・・・・)


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。