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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

二流小説家 シリアリスト@チネチッタ川崎 2013年6月23日(日)

封切り二週目。

席数107の【CINE 1】は八割程度の入り。
男女は半々、何れもやや高齢で単身での来場多し。

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AVの脚本やラノベ、他人のゴーストを務め、
自身ではそれなりの小説をモノしてない
『赤羽一兵(上川隆也)』は、自他共に認める
二流の小説家。

そんな彼の下に、ある日、連続猟奇殺人を犯し
死刑判決を受け収監中のサイコパス『呉井大悟(武田真治)』から
手紙が届く。
曰く、自分の半生を小説にして欲しいと。

訝りながら刑務所を尋ねた『赤羽』に対して
『呉井』は事件の詳細を語る事との引き換えに
不可思議な条件を出す。

逡巡しながらも、指示に従った彼の周辺で、
奇妙な事件が起こりだす。


映画化をすることでより輝きを増す小説や漫画。
それに比して圧倒的にしてはいけない作品。

本作は、その丁度中間に位置づけられる。


何故かと言うと、誰が主犯であるかと言う、
構成上の大きな謎が、かなり早い段階で割れてしまうから。

それは、文字であればさらりと流れてしまう箇所も、
眼に飛び込んで来る情報だと、ああ、成る程と、
よりビビットに感じてしまうから。

また、中途までは、自分をも卑下することで
役にも立たない、人間としても二流であった主人公が
あることを契機に、突如として目覚め、名探偵と化すのだが、
その経緯も不自然に過ぎる。

それでも、
何故『赤羽』が選ばれたのか?、を始めとして
次々と謎が明らかにされていく特に後半部は、
爽快感さえ感じさせる上々の出来。

お約束のどんでん返しも、ちゃんと用意されているし。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

サスペンスとホラーっぽい描写の間をふらりふらりと揺蕩いながら、
軸足の定まらない演出ではあるものの、
物語りを構成する主旋律が良く出来ているので、
作品そのものの印象は悪くない。