RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

プリズナーズ@品川プリンスシネマ 2014年5月16日(金)

封切り二週目。
席数96の【シネマ10】の入りは
二十人程度とちと寂しい。

しかし、本作、そんなことは関係無しに、
その構成で最後の最後まで観客をぐいぐいと引っ張り続ける
超力作。かなり堪能した。

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幼い娘『アナ』が行方不明になり、
警察は誘拐の容疑で『アレックス(ポール・ダノ)』を逮捕。
しかし証拠不十分として直ぐに保釈する。

父親の『ケラー(ヒュー・ジャックマン)』は
『アレックス』が娘の行方を知っていることを確信し
彼を拉致、幽閉し拷問を加え、居所を聞き出そうとする。

地元警察の敏腕刑事『ロキ(ジェイク・ギレンホール)』は
『ケラー』の言動に振り回され、署内での協力も得られないまま
『アナ』の捜索に奮闘する。


最初は幼女が行方不明になる、という単純な様相が
次々と新しい局面や謎が提示され、事件は複層化する。

複数の疑義を孕みながら、
果たしてこれで、どんな落とし前をつけるのだろうと
固唾を呑んで見守ると、頗る納得感のある結末が提示される。

しかし、答えは実はかなり冒頭の部分で示されており、
が、我々は、そうとは気づかない。

幾つもの謎が一つの解に向かい収斂していく様は
エレガントでもある。


タイトルが複数形なのは、
囚われた『アレックス』を
単体で表わしているわけではないことを
指し示している。

行方不明になった『アナ』も勿論だし
『ケラー』にしても同様、
刑事の『ロキ』でさえ、地方都市に囚われているのかもしれない。

また、登場する何人かは、二重の意味で囚人となっていると言う構造も含め、
素晴らしいセンス。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。


娘を捜す、父親の狂気にも近い愛情の側面で語られる部分が多いようだが、
シリアルキラーサイコパスが集団で登場する、恐ろしいまでのサスペンスとして
(自分は)楽しんだ。

終始ひりひりとした緊張感を
観客に強いる一作で、観ている側の心臓に悪いことも間違いないが。


それにして、「半径**kmの間に、**人の変質者が居る」アメリカって
一体、どれほど病んでいるのだろう。