RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

白夜行@TOHOシネマズ川崎 2011年1月30日(日)

公開二日目ではあるものの、
席数147と、比較的小さい【SCREEN2】の入りは
七割程度。

客層は、『東野』好きと思われる女性のグループと、
それに引っ張られて来た、男性連れのカップルが多いか。
総じて、中心年齢は20~30代と見たがどうだろう。

イメージ 1

川向こうと、こちら側で、明らかにクラスが異なる地方都市で、
質屋の主人が殺害される。
複数の容疑者が捜査線上に浮かぶが、
真相は遥として知れず、
そうこうする内に、
最も有力な容疑者二人が、
事故とも自殺とも付かない状況で死去し、
捜査本部は、それを以って幕引きとする。

しかし、その殺害現場が密室、所謂、不可能犯罪であった事は、
ただ独り執拗に事件を追いかける刑事『笹垣(船越英一郎事)』以外は
誰も注意を払わなかった。


数年後、容疑者の娘『唐沢雪穂(堀北真希)』の成長した姿が描かれる。
彼女の周辺では、不可解な事故が頻発する。
何れも、彼女を有利な状況に導く出来事であった。

一方、被害者の息子『桐原亮司(高良健吾)』の生活も併行して描写される。
容疑者の娘と、付かず離れずあるようだが、判然としない。

彼女はやがて、資産家の息子と結婚し、その権勢を一手に握る。
全ては、十年近く前の、殺人事件に鍵が有る様だ・・・・。


はっきり言って、犯人も密室殺人の謎も、
観ているこちら側は、あっと言う間に判ってしまう。

残されるのは「何故」と「どうやって(意思を疎通させるの?)」
の説明だけで、ミステリーとしてはかなり喰い足りない。

本作の主眼は、幼少期に著しく辛い経験をしたことによる
心の闇に在る様だが、時間の関係だろうか、
淡く描かれてしまい、心に迫るモノが無い。

引退した元刑事と、被害者の息子の心の交流も、
源泉が提示されるのだが、説明力に欠けている。

前半に各パーツが、かなり断片的に提示されるので、
後半の一気に提示される解決も、しっかりと頭の中で
整理ができていないと、著しく混乱するかもしれない。

ただ、全体を覆うやり場の無い哀しみは、
東野圭吾』が得意とするところの、殺人以外の禁忌と相俟って、
妙に惹き付けられてしまう。

実態は世評ほど酷い出来ではない。
傷みに被われた上作、と評して置こうか。