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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]@109シネマズ川崎 2013年1月5日(土)

冬休み最後の土日ということもあり、
お子様向け映画は、軒並み満員御礼の表示が出ている。

で、標題作、
一昨日にWeb予約をした時には、
まだ一席も取られておらず、
エクゼクティブシートでさえ余裕で押さえられたのだが、
本日の【シアター10】、
72席と小さい小屋のせいかもしれないが
八割方は埋まっている。

客層は、高年齢のおば様連れが多く、
これはTVドラマの流れ、なんだろうか。

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よしながふみ』の原作は
コミック九巻まで刊行中。
『家重』~『家治』の治世である。

シリーズの映画化にあたって、
第一巻を選んだのは慧眼。
話中、最も人間関係がシンプルだし、
『吉宗』の、粋でさっぱりとした気性が
存分に描かれていることに代表される様に、
人物の性格付けが明快。
一話読み切りとしても十分に楽しめる
エピソードだから。


本作の『綱吉』篇は
四巻後半~六巻前半に当たる。

物語りは、
『右衛門佐(堺雅人)』が江戸城に現れる
件から始まる。
基本的には、TVドラマを見るか
原作を読んでいる前提でないと
人間関係や、大奥での習いは掴み辛く
(勿論、前作の鑑賞も)、
流れとしては、少々不親切だ。


やがて『右衛門佐』は権謀を弄して
大奥の中で成り上がって行くのだが、
その過程で本編のテーマが浮かび上がって来る。

原作の各巻は、それなりの主題を持っており、
本作は『綱吉』と『右衛門佐』、それに『柳沢吉保』との
「愛」に絞ったことでピントの合った作品となった。


鑑賞前は、二匹目の泥鰌狙いか、とか
ドラマの視聴者を、ある程度集客できれば良いのか、と
個人的には斜に構えたスタンスだったのだが、
観終わってみれば、
「映画」として立派に成立している事に感心する。

無駄に見えるカットも
それなりの意味が有り、
カメラ回しやアングルも含め、
判った人が撮っている。
カットの長さも含め
硬軟自在である。


原作とは若干異なるラストだが、
余韻を残して、映像的な造りとしては
これで正解と思う。

「赤穂事件」のエピソードが抜けているが、
この尺では致し方無いところだろう。

評価は☆五点満点で、
☆☆☆☆。