RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

マイウェイ 12,000キロの真実@109シネマズ川崎 2012年1月19日(木)

【シアター3】は121席とあまり大きくは無い小屋だが、
それでもやはり「エクゼクティブシート」を中心に来場者はかたまり、
入りは三割程度。

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1928年の日本統治下の朝鮮半島
京城に軍属の家族が日本から越して来る。
それが『長谷川辰雄(オダギリジョー)』と
長谷川家の使用人の息子『ジュンシク(チャン・ドンゴン)』
との出会いであった。

その後、節目節目に、二人の人生は交錯する。

やがて、同じ部隊の司令と部下に別れ、
同じ戦場で、遂には
1.2万キロの逃避行をしながら
日本~ロシア~ドイツの三つの軍服を着、
共に闘う関係となる。

本作は、その二人の愛憎と友情を
壮大なスケールで描いている。


とは言うものの、脚本が酷い。
ご都合主義も極まっている。
韓流ドラマであれば、アリかもしれないが、
この様な大作では、あんまりだろう。
何度もタイミング良く救いが起ることに、
館内でも失笑が広がっていた。

次いで、ステレオタイプな戦時下の日本人や
軍人の描写。
これを見て観客は非道さに切歯し、
それが逆転するシーンでは快哉を叫ぶのだろうか?
そうではないだろう。
考証もへったくれもない、
「いきなり大佐」とか「いきなり切腹
「生きて虜囚の辱めを受けず」を裏切る言行不一致とか
枚挙にいとまが無い。

おまけに、将校は必ず
「逃げるな」とか言って、捕虜兵も含む自軍の兵士に対して
平気で拳銃を向ける輩ばかりだしさ。
弾薬と兵員の両方が損耗するでしょ。

観ていて段々虚しくなってきた。


実話を元にしているとは言っても、
実際のところは
東洋人が写っている一枚の写真と
彼が語った、三国の軍服を着て闘ったということのみ。
それ以外は監督が構想したフィクションに過ぎないのでは。

その膨らませ方があまりにも稚拙で、
こんな企画に大枚を投じる判断ができたものだと、
違う方向に感心してしまった。

だって、戦闘シーンに投入された物量と人員は相当のものに
見えるから。
かと言って、粗いだけの表現で、迫力は薄いんだけどね。