以前はもっと【大森】に近い場所にあったのだが
数年前に、こちらに移転して来た。
数年前に、こちらに移転して来た。
昔から行きたい店の上位にリストアップしていたのだが、
なまじ近所だと却って後回しになってしまう。
なまじ近所だと却って後回しになってしまう。
6月の、とある水曜日に訪問しようと
十日前に予約の電話を入れるも既に満席。
二日後の金曜ならば空きありとのことで、
そちらでお願いする。
十日前に予約の電話を入れるも既に満席。
二日後の金曜ならば空きありとのことで、
そちらでお願いする。
コースは一万円と一万三千円の二種があり、
高い方を予約時に選択。
高い方を予約時に選択。
店内は六席のカウンターに個室が幾つか。
当日も満席で繁盛の度合いがうかがい知れる。
白木の折敷は時節柄、爽やかさを醸している。
箸置きも随分と洒落ている。
それでも、焼酎をオーダーすれば
厚手のゴブレットでチェイサーが付く。
お代わりをすればコースターごと取り替えると、
細かいサービスは満点。
厚手のゴブレットでチェイサーが付く。
お代わりをすればコースターごと取り替えると、
細かいサービスは満点。
《食前酒》が出される。
梅酒のロック。
甘過ぎず、酸っぱ過ぎず、果実味がこなれて良い塩梅。
これで食欲はいや増す。
先ずは《素麺》。
海老の出汁に酢橘が絞り込まれ
さっぱりとした味わい。
麺も髪の様に細いのだが、それでいてしっかりとしたコシ。
喉越しも滑らかで、一気呵成にずるずると食べ切ってしまう。
椎茸の味付け、錦糸玉子の細さも、麺と出汁に吊り合っている。
《玉蜀黍の素揚げ》
緑釉の上に黄色が映える。季節らしい一品。
玉蜀黍の甘味が尋常ではない上に、歯ざわりも滑らか。
揚げ加減も上々で、熱々の甘い汁が口の中に飛び出る。
《椀》は玉子豆腐に鮑。
出汁が、出汁が、素晴しい。
滋味がカラダ中に染み渡る。
鮑は、厚みがあるのに軟らか。
玉子豆腐も、日頃食べているそれとは(当たり前だけど)別モノ。
真っ当に造れば、こんなに滑らかな口当たりになるんだな。
《鱧》
掛かっているのは梅と、
鱧の骨からとった出汁を煮詰めたジュレ。
梅は勿論御定法だが、素材それ自身の味で補強された
出汁も、やはり美味しい。
アップにすると、
こんなに細かく骨きりの包丁が入り、美しい花が咲いている様だ。
《お造り》は鮪とあおり烏賊。
添えられているのは、蓮芋の茎、山芋、若布。
厚みのある烏賊が甘味と、ねっとりとした食感で素晴しい。
包丁の目も細かい。
《焼き物》は鮎の一夜干しと食用鬼灯。
干した鮎を食べるのは初めてだが
十分に薫香がする。加えて、適度に水分が飛び、
旨味が濃縮されている。
お約束の蓼が添えられ、
最初は苦味の強いバジルかと思った。香りも良い。
鬼灯の色は外観と同じ肌色。
勿論、これを食すのも初めて。
程好い甘味。
《しゃぶしゃぶ》
この絶妙な火の通り具合はどうだろう。
ほんのりと赤さが残りながらも、
きちんと旨味が活性化している。
軟らかいことに加え、牛らしい旨味が十分に味わえる。
《焚き合わせ》
蛸、南京、赤ピーマン、オクラ、茄子。
蛸は軟らか。入れ歯でも噛み切れるだろう。
南京のしゃくっとした歯応えは、家庭では再現できない技かも。
茄子も旨味を含んだ厚い身が、口の中で解れて行く。
これが+3,000円の《スペシャリテ》。
野菜はアスパラと芋茎。
殻から出されたままの形の雲丹。
厚みのある鮑。
葛粉で軟らかくとじられている。
雲丹は濃厚。
鮑はこの厚さでも軟らか。
御寿司屋さんで食べる煮鮑とは
また異なる食感。
量もたっぷりで、これは幸せだ。
ご飯は土鍋で炊かれ、艶々と輝いている。
最初は、ただ、ご飯の上に乗せ、
それだけで頂く。
それだけで頂く。
中途からたっぷりの出汁を注いでもらい、
さらさらと茶漬けに。
さらさらと茶漬けに。
これを本当の口福と言うのだろう。
添えられた香の物と海苔を共に、
炊かれたご飯、全て食べ切ってしまった。
特に、おこげに出汁をたっぷりと注いで食べた時には、
もう懐かしさで涙が出そうになった。
もう懐かしさで涙が出そうになった。
《デザート》は西瓜ジュースとメロン。
西瓜は「ただ、ジュサーに掛けただけ」とのことだったが、
不思議と和が香る。
不思議と和が香る。
メロンにはオランデーズソース。
これが、果物本来の味を邪魔していない
お酒を随分と呑んだので、
税・サービス料込みの払いは二人で3.6万円。
税・サービス料込みの払いは二人で3.6万円。
それでも満足度は高く、
今度は松茸の季節に行きたいと思わせる。
今度は松茸の季節に行きたいと思わせる。
本店も同様に、☆☆のランク。
良い物を食べて記憶するのは、
大事なことだと改めて思う。
良い物を食べて記憶するのは、
大事なことだと改めて思う。
店の入口脇に、暖簾が下がった小さな一角が設えてある。
何だろうと覗いて見たら、喫煙スペースだった。
何だろうと覗いて見たら、喫煙スペースだった。