「一生に一度はお伊勢さん」と江戸時代の人は「伊勢講」まで組んだ。
お参りは勿論、中途で羽目を外すのも、旅の目的の一つだったのは
〔東海道中膝栗毛〕でも書かれているところ。
現代人の信心は、その頃よりも薄れているかもだが、
日本人なら一度はお参りしておきたいし、
折角訪問するなら、いい宿に美味しい料理を楽しみたいもの。
標題所は「伊勢外宮」至近とのことで選んだ宿。
更には「お伊勢参りは外宮から」とも言うらしいし。
HPから一ヶ月前の予約も、
その時点で結構部屋は埋まっている。
名古屋駅の下り新幹線ホーム16・17から
近鉄線への乗り換えは中央コンコースに出るよりも
「JR南通路」を通るのがおススメ。
特に乗り換え時間が無いときには。
10・12号車付近の「出口(南口)」階段を降り、
後は「近鉄線⇒」の矢印に沿って歩けばほどなく乗り換え改札に着く。
改札脇には券売機も窓口もあるので、
ここで切符を買えば良し。
特急券は事前にWebで購入済なので、
後は乗車券を買うだけ。
近鉄名古屋→伊勢市は近鉄特急で1時間24分の行程。
値段は¥3,080(乗車券\1,740/特別料金\1,340)。
中途乗り換えが必要な列車もあるので、
伊勢市までの直通便を選び、
それに新幹線の着時刻を合わせるのが良さそう。
それにしても綺麗な電車。
座席には足置きや充電器も付き、
至れり尽くせり。
シートも軟らかく、座り心地は新幹線よりも善し。
ただ、揺れは幾分大きいよう。
特急券と乗車券に二枚持ちだが、
改札を通すのは乗車券のみ。
特急券は車内検札があった時に提示する
(Web購入は購入済み画面を)。
さて、宿のお話。
【伊勢市駅】の【南口】に出れば、
ロータリーの直ぐ前に在る。
本当に至便な場所。
早い時間に着いたので、
一旦荷物をフロントに預かってもらい、
手ぶらで「外宮」のお参りに向かう。
で、チェックインをしたのは15:30頃。
5階のロービーにはフリードリンクや
ラスク、お煎餅、アイスキャンデーのコーナーも。
同フロアには大浴場も在り、
その入り口脇にはサイズや柄を選べる浴衣も置いてある。
勿論、食事の時には浴衣でも可とのこと。
荷物は既に部屋に運んでくれているとのことなので、
早速、ひとっ風呂浴びるとしますか。
部屋はベットの置かれたスペースと畳敷きに分かれ
広くもなく狭くもなく。
露天風呂とは言え、駅の真ん前なので、
ベランダには目隠しがされており、開放感はあまりない。
まぁこれは便利な立地とのバーターなので
致し方の無いところ。
それでも熱い湯(温泉)にざぶんと浸かる贅沢で、
日頃の憂さなど吹き飛んでしまう。
湯上りには、ミネラルウォーターが用意されている。
夏の盛りなら、ロビーまで
アイスキャンデーを取りに行くところだが。
夕食は一階の『伊せ吟』で日本料理を。
お酒は別料金。
自分たちは、地ビールと日本酒のセットに
追加で日本酒一合を。
「神都麦酒」「作(ざく)」「田光」の他にもう一銘柄。
ビールの製造者が「エチゴビール」なのには笑ったが。
《前菜 旬菜盛り込み》
半分以上の写真を撮り忘れる大失態。
なので写っているのは
《小鯛押し寿司/おやき/餅唐墨おかき揚げ》
《ペコロス合鴨》のみ。
文字面だけだと記憶の再限度が下がるので残念至極。
記憶に残っているのは
《おやき》《茸胡麻豆腐グラタン》と
シンプルで素朴な味わいのもの。
ほっとさせる工夫がなんとも嬉しい。
《椀物 南瓜真丈蟹すり流し》
これも南瓜の甘味と
蟹の旨味が良い加減に融合。
温かい出汁で胃の中もほくっとする。
《造り 伊勢海老と旬魚盛り込み》
白身は鮃、脂が乗りつつ歯応え善し。
アオリイカは厚みがあり、さくっと歯が通る。
鮪は中トロと赤身。何れも脂がとろんと蕩ける。
薬味も凝っている。煮凝り状の醤油は味が深い。
伊勢海老の量は多くはないが、
甘くとろりとした食感
《焼物 松坂牛溶岩焼き》
何故溶岩板なのかは判らぬが、焼かれて熱々。
これに牛脂を溶かし肉を乗せる。
部位は三種計四枚。
脂の網目は少な目も、どれもしっかりした味わい。
口をさっぱりさせるためだろう。
《蕪と林檎のサラダ》が。
これはドレッシングが滅法美味しい。
《煮物 金目鯛となめこの小鍋仕立て》
これも素朴な味。
脂の乗った金目は勿論だが、
芹の青い味わいがなんとも言えず。
三つの素材を併せて、鍋を楽しんでいる気分になる。
《食事 栗と丸十銀杏石焼御飯》
「丸十って?」と質問すれば「薩摩の・・・・」との答え。
成る程、薩摩藩の紋は丸に十の字からの引きね。
イコール薩摩芋、と。
炊き立てのご飯はほかほかと美味しい。
完食する。
味噌汁には伊勢海老の殻が入り濃厚な味。
こびりついている身をせせるのは忘れない。
香の物はさっぱりした味。
浅めの漬かり具合。
《水物 洋梨 栗アイス》
栗アイスが美味しいのは勿論だが、
《寄せ木の実》は何かと思ったら
胡桃等の木の実にキャラメル味。
意表を突かれる美味さ。
量もありお腹が膨れ、
素材と調理のバリエーションも上々、
満足の行く内容だった。
これで、また温泉に入れば
睡眠もたっぷり取れ、
明日に備えられそうな夜。