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映画 妖怪人間ベム@チネチッタ川崎 2012年12月23日(日)

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いやはや、かなり驚いた、
席数154の【CINE 9】は満員の盛況。
しかし、その客層が素晴らしい。
お子様を帯同した家族連れが圧倒的で、
中には未就学児の姿もちらほらと散見され、
まあ、大多数は小学生なのだが、
そういった方向性の作品なのだろうか。

確かに、上映前の予告篇でも、
その層向けのアニメ作品が三つも並べられ、
特に劇場側は、
対象のマーケティング
きっちりとできている印象。


しかし、大元のアニメ版を
幼少期にリアルタイムで見た世代としては、
この状況は、しっくりとは来ない。

往時の〔悪魔のろうそく〕〔怨みの髪の毛〕
〔古井戸の呪い〕〔亡者の洞穴〕と言ったあたりは
今でもおおよその内容を想起できるほどの
一種トラウマに近い、強い記憶を伴った
正真のホラー作品であったのだから。


で、本作、
テレビドラマ版の
まるっきりの続編の体裁
(あ、念のために書いて置くと、
テレビドラマは全話しっかりと見てます。
自分としては珍しい)。

『名前の無い男(柄本明)』を倒してしまったことで
人間になる唯一の望みを絶たれ
(これがアニメ版との大きな違いだが、最初から
続編や映画化を想定しのことなら、かなりの慧眼)
姿を消した三人の妖怪人間が
再び『夏目(北村一輝)』達の住む街に
意図せず舞い戻って来た事から
物語は動き出す。

奇妙な事件が立て続けに起こり
それには、人間が持つ悪の側面が濃密に関係していること、
そして、彼らが人間になれるかもしれない可能性が
再び提示される。

新たなクリーチャーの正体も含め、
幾つかの謎が絡み合い
ストーリーはココロが痛くなるほどのラストシーンに
突入する。


人質が居る方向に向けて躊躇わずに発砲する警官隊や、
やはり跳弾を恐れずにバスの中で発砲する
バスジャック犯と言った
若干首を傾げるシーンはあるものの、
脚本は概ね破綻せずに
妖怪人間の切ない胸の内を描き切る。

確かに、お子様達に見せることも
十分に能う感動する良作に仕上がっている。

セットやCGもそれなりに大掛かりで
キチンと作成されている。


しかし、エンドタイトルを観ていて気が付いたことがある、
勿論、その時に流れる音楽も含めて、なのだが
制作者達は、ホントはアメコミをベースにした
ハードボイルド作品を
造りたかったんじゃあないだろうか。