RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

オン・ザ・ロード@TOHOシネマズシャンテ 2013年9月14日(土)

席数201の【CHANTER-2】は半数程度入りと
少々寂しい。

しかし封切り半月を経ての状況なので、
むべなるかな、と言ったところか。

客層は中高年の男性が独りで来ているケースが圧倒的に多く、
原作及び原作者、またはそれにインスパイアされたミュージシャン達に
更に影響を受けた我々、となる構図だろうか。

ま、「R15+」でもあるしね。


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作家とは称しているものの、直近の父の死後
一篇の作品もモノできず、極度なスランプに陥っていた
『サル(サム・ライリー)』は共通の友人を介して知り合った
『ディーン・モリアーティ(ギャレット・ヘドランド)』に傾倒し、
彼の住むデンバーに向かいNYを後にする。

しかも、その旅程は列車やグレイハウンドでは無く
徒歩とヒッチハイクを継いだもの。

『ディーン』と再会した『サル』は、彼の強烈なカリスマ性に呑み込まれ、
刹那的で享楽的な生活にのめり込み、その友人達と
国内を放浪し、旅をする。

数年が過ぎ、(〔いちご白書をもう一度〕の歌詞みたいに)
もう若くなくった時に(それでも二十代前半なのだが)、
『サル』は憑き物が落ちた様に、作家としての自己を取り戻し
旅の経験を基に小説を書き始める。

一方の『ディーン』はと言えば・・・・。


原作者の自伝的小説の映画化とも聞く。
なので登場人物は彼の周囲の実在者をモデルにしている。
ゲイの詩人『カルロ』は『ギンズバーグ』とか。

アメリカ国内を放浪している期間は数年にも及び、
全編の九割以上が途上の、
とんでもないロードムービーとなっている。


登場人物の造形は明快
『ディーン』は女も男も惹き付ける一種のイコンで
少々の犯罪まがいの行為は屁とも思わない。
今さえ楽しければ良く、先のことは考えず、ファンダンゴ
永久に続くと思っている。

確信的に引っ張り回される『サル』は
一方で厳格な信仰や信念の下に育てられ、
家族や勤労と言った側面にも重きを置いている。

実際は水と油の二人だが、
周囲の友人も巻き込み、
激しく化学変化するさまは、
観ていて爽快である。


旅とそこで起きる出来事が、
作家としての『サル』を次第に確立させて行く過程の
糧となるのは見ていて良く理解できる。

ただ、各々のエピソードは
必要なパーツではあろうが、
似通ったシーンが繰り返し繰り返し語られため、
全体として見た時は少々冗長に感じる。



評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

北国の帝王』で描かれた「ホーボー」や黒人差別、
40~50年代のアメリカの国情を描き出した点も
余禄ではあるが秀逸。