RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

おとなのけんか@TOHOシネマズ川崎 2012年3月3日(土)

席数149の【SCREEN2】の入りは
両手・両足の指の数ほど。
高齢の二人連れが多い。

イメージ 1


「○○○○人が三人集まると政党が六つできる」
などとジョクーの種にされている如く
(○○○○の箇所には国名が入りますが、
バリエーションがあるようなので伏字に)、
人の離合集散は世の常。

さて、この映画の二組の夫婦はどうだろうか?


冒頭の公園のシーン。
一人の子供が棒を振り回し、
もう一人の子供の顔を疵付けたことが提示される。

変わって室内のシーン。
ニューヨ-クのアパートの一室。
加害者の子供の親と、
被害者の子供の親が話しあっている。

最初は穏やかな話し合いであったものが、
内容は次第に混迷し、あらぬ方向へ。
最後には、最早、当初の議題とは
かけ離れた内容でいがみあう。


原作は戯曲。
物語は室内を(ほぼ)出ることなく展開する。
舞台上であれば平板な演出でも観られるだろうが、
ポランスキー』は、複数箇所に置かれている鏡を使い、
人物を意図的に映りこませることで
奥行きを見せている。

四方八方に飛び散る会話が
また面白い。
登場人物の四人は各様の背景を持ち、
それをベースにした貶し合いが
観客の哄笑を生む。

ジョディ・フォスター』『ケイト・ウィンスレット
クリストフ・ヴァルツ』『ジョン・C・ライリー
四人の手練を揃えたことが大きい。
特に『ジョディ・フォスター』。
口角泡を飛ばし、時にキレ、
大声をあげる様は、痛々しいほどだが、
こちらの方は、更に笑いが増幅される。

加えて、外見が職業に一致する絶妙の配役。
いやはや、素晴しい。


エンドタイトルでは再び公園のシーン。
頗る皮相な光景が展開されている。
親達の会談は何だったのだろうか?

個々人のステータースにより
本題が捻じ曲がってしまう寓意
とも取れるが、
此処では俳優達の至芸を楽しむのが上策だろう。