RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ヤング≒アダルト@109シネマズ川崎 2012年3月3日(土)

席数121の【シアター3】の入りは
両手の指の数ほど。
しかも「エグゼクティブシート」近辺に固まっているってことは
映画好きの観客ってことか。

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ヤングアダルト」小説のゴストライター
『メイビス(シャーリーズ・セロン)』は
ミネアポリスの高層マンションの一室で
愛犬と共に暮らしている。

が、一時期はヒットした小説も
最近は低迷し、打ち切りが決定。
私生活でも、離婚を経験し、
満たされない日々を送っている。

そんな折、田舎で幸せに暮らしているモトカレから、
娘の誕生祝いパーティの招待メールが届く。

ティーンエィジャーの記憶が蘇えった『メイビス』は
略奪愛を画策し、
発作的に田舎に向かい
車を走らせる。


2011年の『ハッピー・ゴー・ラッキー』。
こちらも、成長できない女性を描いた一作。
楽天的に生きる主人公の姿には
全く感情移入できなっかった。

で、本作の『メイビス』。
こちらはかなり鼻持ちならない性格に描かれている。
容姿は端麗、加えてライターの才能もあることを
鼻にかけたタカビーな女。

しかし、活動の舞台は「ビック・アップル」ではなく
「スモール・アップル」と揶揄される地方都市止まり。
ブラックベリー」を使い「ミニ」に乗るスノッブさは
成りきれていないことの証左の表現
(しかも、この「ミニ」、年式は新しいのに、
パネルの汚れ具合は半端じゃない。
ここいら辺の手の入れ具合も良好で、
さすが〔マイレージ、マイライフ〕の監督×〔『JUNO/ジュノ〕の脚本のタッグと
唸らされる)。

生活の場である荒れた室内の描写も含め
妙に共感できる部分が多い。


独り善がりの想い込みで
帰った田舎は、最早自分が知っている場所では無く、
中途半端に都会化している。

そこでの彼女は、完全なフォリナー

しかし、イタイことに、自身ではそれに気が付かず、
勝手な妄想に邁進する。


過去の栄光に縋って生きる
ネオテニーな半身を、
成熟を希求するもう半身が凌駕する
事の次第は、
多くが大人に成りきれていない
現代日本人には(勿論、自分を含めて、だけど)
痛切なアイロニーに見えてしまう。


甚だしく勘違いをしている、汚れを演じた
シャーリーズ・セロン』が素晴しい。