RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

さよなら渓谷@チネチッタ川崎 2013年6月29日(土)

席数129の【CINE 2】は七割程度の入り。

客層は中~高年のカップルが圧倒的に多い。

事前に入手していた本編の内容と、
「R15+」指定なのを勘案すると
かなり意外。

イメージ 1


朝っぱらから、一組の男女が濃密に交接している。

夫である『尾崎俊介大西信満)』と内縁の妻『かなこ(真木よう子)』
であるらしい。

つけっ放しのテレビからは隣家の若い主婦『立花里美』が
一人息子を殺めた容疑で逮捕されたことを伝えるニュース速報が
流れている。

やがて『里美』から
『俊介』と不倫していたという供述が出され、
彼は警察に拘置される。

事件を追っていた雑誌記者の『渡辺(大森南朋)』は同僚の『小林(鈴木杏)』
と共に二人の周辺を洗ううちに、両者に共通の暗い過去に突き当たる。


とは言うものの、本編のチラシにも新聞の告知にも
「ごく普通に見える夫婦。だがふたりは残酷な事件の被害者と加害者だった―。」
とのキャッチがしっかりと記され、これは一種のネタバレである。

作中では勿論、二人が同居している経緯や、不可解なお互いの行動が、
過去の事情をカットバックで挟むことで次第に解き明かされていくのだが、
そのことについての緊迫感は無い。

要は謎の解明は、全き主眼には置かれておらず、
寧ろ、愛とか憎悪とか、単純な言葉では割り切れない
男女間の想いや軋みが、静かに流れる画面の中から
痛いほどに伝わって来る。


記者の『渡辺』にしても、衰えて行く肉体と共に
妻との葛藤を抱えており、その関係は
一言で説明できない、極めて複層的だ。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。


留置所で面会用の透明なアクリル板を挟み
『俊介』と『かなこ』が相対するシーンは
真木よう子』が瞬きもせず
まっすぐに見つめる目線に、観ている側がおろおろしてしまう
本作の白眉とも言え、
女優として力量を見せつける。

一方、〔ヴェロニカは死ぬことにした〕以来
久々のヌードや絡みは、肝心な箇所が見えず、
観客としては欲求不満だったぞ。