RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

トワイライト ささらさや@TOHOシネマズ日本橋 2014年11月18日(火)

封切り二週目。
席数213の【SCREEN6】入りは二十人弱と寂しいが、
ビジネス街の館の、朝イチの興行なんてこんなものだろう。

客層にサラリーマン風の人が多いのは
かなり笑える。営業の間の時間つぶしだろうか。

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噺家の『ユウタロウ(大泉洋)』は交通事故で亡くなっても、
後に残された妻『サヤ(新垣結衣)』と息子『ユウスケ』のコトが
気になって気になって成仏できない。

挙句の果てに、この世に留まるばかりか、
現世を彷徨う自分を感じたり見ることができる人間に
短時間だけ乗り移れるようになる。

オープニングでは、落語の語り口に乗せ、
その間の事情がととととと~んと小気味良く描かれる。


『ユウタロウ』は妻が窮地に陥ると、
周囲の人間に乗り移っては助けるのだが、
ここで、一人の人物の中に居られる時間と、
その絶対数という制限を与えることで、
ストーリー展開に面白みを出している。

一体、次には、どんな場面で誰に憑依するのか、
観客は固唾を呑んで見守ることになるのだが、
それが為だろう、監督は
小松政夫』と『富司純子』という二人の芸達者をキャスティングした。

何れもが、カラダに入ってくる瞬間から出て行く迄を、
カメラは正面から長時間捉え、役者達は
『ユウタロウ』が乗り移ったかの如く演技する。

これが、もう至芸。
誤魔化しが効かないカットの連続を、
何れもさらりとやってのけ、仕草や話し方を含め、
我々は二人の中に『大泉洋』の影を見てしまう。

素晴らしい。
これだけで一見の価値アリだし、
製作サイドは、実はコレをやりたかっただけではと
つい勘ぐってしまう。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。


表面的には『サヤ』が「ささら」町で、
母親として自立し成長していく物語。

いみじくも劇中で語られている通り、
「子供」が「母」を「親」にして行く。


しかし、もう一つの側面、
『ユウタロウ』が、此の世から離れるまでの過程で、
やはり「父親」として成長(最早死人なのに変な表現だけど)して行く
お話しでもある。

あははと笑わせ、ほろりと泣かせ、
そして最後には明るい未来を信じることができる。

心がふわりと温かくなる一本になった。