RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

フューリー@109シネマズ木場 2014年12月19日(金)

封切り三週目。
席数89の【シアター4】の入りは二割ほど。

西部劇と戦争ものは中高年男性の大好きなジャンル、の
定説通り、当該層が来場者の九割を占める。

おっといけねえ、他人のコトは言ってられないや。
自分もまさに、その通り。


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所謂「小隊もの」は傑作が多い。
最前線物語〕でしょ、〔プラトーン〕でしょ。

特に前者に到っては、その小隊の環境さえ酷似している。
アフリカから転戦し、ノルマンジーに上陸、
最後はベルリンを目指す。

そして、もう一つ、重要な共通のファクターがある。
新兵の戦士としての成長譚。

更に本作は、過去の作品とは一風変わった味付けが為されている。
戦車戦がそれで、極めて斬新だ。


冒頭、ドイツ軍の戦車が連合軍のそれよりも
戦闘力において数段勝っていることがテロップで示される。

本来であれば映像で提示したかっただろうが、
ただでさえ二時間を超える尺、これ以上の盛り込みは難しいだろう。

更にはDディ後もベルリンへの路はけして平坦ではないことや
ナチのSSの残虐さも、あくまでも伏線として示され、
これが後のストーリーに効いて来る。

なので、例えば独軍ティーガー戦車と対峙する場面でも、
我々にはその強さが文字によって擦り込まれているので、
どうやって攻略するんだろうと、手に汗握ってしまう。


また戦車を先頭に立てての戦闘シーンでも、
成る程、兵士達はこのように動くのだなと、
リアリティ満点、役には立たないけれど、
知識も増えて、なんだかトクした余禄にも浸れる。


砲弾や弾丸が跳弾する描写の演出も素晴しく、
嘗て観た映画の中では、最高の出来ではないだろうか。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。


守備戦の為に、数百を数える敵と孤軍奮闘する姿は、
中に居る小隊の面々は勿論だが、戦車自体が一つの砦として在るようで
頼もしささえ感じられる。

結末についてはまるっきり予見できなかったけれど、
ああ、実際は過去からのお約束をきっちと踏襲しているんだと
観終わって初めて思い至った。

判り易過ぎる構図ではあるけれど、
戦争映画として単にエンターティンメントに引っ張られ過ぎず、
悲惨さや非人情さもきちんと描く、
渾身の一本。