RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ローン・サバイバー@チネチッタ川崎 2014年3月31日(月)

封切り二週目。
席数129と小さいながらも
【CINE2】の入りは八割程度と盛況。

「PG12」に加え、戦争映画と西部劇は
男性のしかも高齢者の志向というコトで、
客席も全く、その層で〆られている。

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アフガニスタンの交戦地帯に、
米軍の小分隊が降り立つ。

彼等の任務は、
米兵二十人を惨殺したタリバーン幹部の
所在捕捉と監視。

しかしその作戦中に、羊飼いの一団に遭遇、
その存在を知られることに。

一旦捕獲した羊飼い達の処遇で揉める、特殊部隊員たち。

が、彼らが下した決断の結果、最終的には
数百人のタリバーン兵に囲まれてしまう。

四人のネイビー・シールズ
この包囲網を破り、無事帰還することができるのか。


終映後の周りの感想を聞いていると、
「いや~、久々に面白い映画、観たね」と言ったものが殆ど。

確かに戦闘シーンの迫力は相当のモノ。
上映時間の殆どがそれに当たるわけだが、
耳元を弾丸が擦り抜けて行く音が途絶えず、
見る側にも激しい緊張を強いる。

では自分はどうかと言えば、少々複雑な心境。


まず、戦争映画や西部劇にありがちな勧善懲悪的な公式
(ここでは、タリバーン=悪者)がかなり排除されている。

勿論、アフガニスタン国内とて一枚岩ではなく、
タリバーンの勢力も厳然として存在することは劇中で示唆され、
それがアメリカ寄りであることは仄めかされる。

ただ、圧倒的なカタルシスを得ることは無い。


同様に、痛みに対する超人的な耐性や、
仲間に対する強い友愛の情も示される。

それは冒頭「シールズ」になる為の過酷な訓練の様子が
(おそらく、実写と思われるが)流され、これが記憶に残ることで、
弾に当たっても、その後も戦闘を続行する姿や
自分の身を投げ出しても、仲間を救おうとする姿勢には納得感を与えている
(寄せ集め部隊の〔プラトーン〕では内紛さえ起きている)。


嘘くさくもないが、高揚感もない、なんとなくもやっとした感情だけが
最後までわだかまる。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

所謂、小隊モノに分類されるだろうが
最前線物語〕のユーモアー
プラトーン〕の悲愴さとは、やや距離のあるトーンになっている。

アメリカが正義であると、声高に言い募るでもなく、
ただ、生きて還るための戦闘の過程が粛々と描写されていく。

とは言うものの、同じく「シールズ」を扱っていても、
我儘な女医さんを守るために奮闘した〔ティアーズ・オブ・ザ・サン〕比べれば
仲間の為に闘うここでの彼等の方が、よほど人間臭くって好きだ。