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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

アジョシ@チネチッタ川崎 2011年10月1日(土)

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191席の【CINE10】は九割方の入り。
主要客層は、主演男優目当ての
お姉さん~小母さんなのだが、
カップルや男性の独り客も多いのが
少々以外。


ストーリーは良くある奪還モノ。
母親の不始末で臓器売買のシンジケートに囚われてしまった
少女を、近所に住む質屋の店主(テシク『ウォンビン』)が
救い出す。
『テシク』は勿論、過去のある人間で、
救出の原動力になっているのも、
彼女に「アジョシ」の呼ばれて懐かれていたから、
という些細なもの。


当然のことながら、過去に作成された多くの映画の影を、
此処では見ることができて、
例えば〔レオン〕であり、
例えば『健さん』の任侠モノ。

かつての銀幕で「健さん、危ない」との声が飛んだと言う伝説の様に、
隣席の女性は、今にも「危ない」と叫ぶのを
口に手をあてて、堪えている様だったしな。


ウォンビン』の鍛えられたカラダは素晴しいし
暗殺術による格闘シーンもリアルそのもの。
特に、トイレの狭い空間でのそれは
逆に躍動感さえ感じる。

全体を覆う暗いトーンに加え、カメラも良い。
主人公が窓から飛び出すシーンを
追って行くそれは、〔遊戯〕シリーズで
松田優作』の後を追い、階段を駆け上がった
シークエンスを彷彿とさせる。


既存のモチーフを組み合わせても、
料理の仕方でいくらでも秀作が撮れるという、
代表例だろう。


しかし、もう片方の主役の少女だが、
気を付けて聞いていると、
方々で「アジョシ(=おじさん)」という単語を使用している。

『テシク』に対するものだけではないのだが、
それによって、悪の側さえ味方につけてしまうという、
ある意味本作の最強は『ソミ(キム・セロン)』
なのかもしれない。