RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ツリー・オブ・ライフ@109シネマズ川崎 2011年8月19日(金)

席数345と、広めの【シアター6】の入りは四割程度で
かなり空席が目立つ。

客層は、「文芸モノ」が好きそうな、少々高齢な
方達の影が目立つ。


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寡作で有名な『テレンス・マリック』監督の最新作に、
ストーリーらしいストーリーは無い。

しかし、聖書の一節が、先ず提示されることから判る様に、
扱われているテーマは普遍的、
親子の葛藤
兄弟の相克
夫婦の愛憎
神への敬愛
であるが、全てが過分に西洋的な文脈で収斂している。

オープニングは
「生物、○○億年」と言ったタイトルが付きそうな、
〔アース〕と見紛うばかりの映像。
それが一転して、陳腐なファミリームービーに。
エピローグは頗る寓意に満ちた映像の連続で、
評論家的には「一大映像詩」と絶賛するのだろうが、
騙されてはいけない。

実際の劇場では、途中退席者が続出。
はっきり言って、観続ける事に相当の忍耐を要する。


なまじ映像が美しいことが始末に負えない。
ただ、眼は奪われるが、心までは動かない。
自分に酔っただろう『テレンス・マリック
と、強く感じてしまった。

このモチーフの語り口にしては、
大上段に振りかぶりすぎ、
全体的に空回りな印象なのだ。


『アルメンドロス』のカメラの力を借りた
天国の日々〕は、(蝗が画面一杯に跳梁する)悲惨なシーンでさえ
ただ美しかった。
それは、しっかりとした脚本あってのこと。

本作は、余りに観念に流れすぎたきらいあり。
正しくない忍耐を観客に強いる作品は、
在ってはいけないと思う。