RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

トゥ・ザ・ワンダー@TOHOシネマズシャンテ 2013年8月14日(水)

先週末の封切り。
席数224の【CHANTER-1】は
満員の盛況。

年齢はやや高齢に振れてはいるものの、
見た目は映画好きそうな面構え多し。
男女の比率は4:6と言ったところか。


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前作の〔ツリー・オブ・ライフ〕で
事前の期待を思いっきり裏切り、大すかしを喰らわせてくれた
テレンス・マリック』の新作。

で、最新作、またまた見事にやってくれた。

評論家達は「詩的な素晴らしい映像」などと持ち上げるだろうが、
なに、美しい映像を見たいのであれば、環境ビデオでコト足りる。
我々は、映画を、オハナシを観たいのであって、
その点では本作、完全に外している。


一組の男女の出会いと別れが描かれる。
しかし、ここでは科白も殆んど省かれ、
場面が転換すると新しい展開が起き、
我々はその間の事情を想像力で補うしかなくなる。

主人公達(男を演じる『ベン・アフレック』、女を演じる『オルガ・キュリレンコ』)は、何れも
時としてエキセントリックな造形。
背景の説明や感情の吐露が全くないので、
その行動も直截的・直情的にしか見えない。


また、都度挿入される牧師『ハビエル・バルデム』のシーンとて、
神への疑いすら持っているのでは、と
思わせる本分を外した行動をするのだが、
此処での存在意義も含めて理解できない。


全体を通して、
ある意味、究極のモンタージューとも言えるが、
一方で、シノプシス(せいぜいプロットの一歩手前)の状態で
映像化してしまったとしか思えない。

テレンス・マリック』名義での公開だから、
この評価、この客の入りであり、
無名の監督のクレジットならば
単に実験映画と捉えられ、切り捨てられる出来だろう。

大胆な省略と言ったレベルから
大きく逸脱している、
正直トンデモ作品である。


評価は☆五点満点で☆☆。

美しい映像は寓意に、少ない科白は韜晦に満ちている。


二時間強の上映中。
場内の其処彼処からは、寝息がたっぷりと聞こえた。

更には、中途で席を立つ人も多く、
エンドクレジットが表示された途端に離席する客の数も
通常時の比ではない。

観客はやはり正直だ。