RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ストックホルムでワルツを@チネチッタ川崎 2014年12月1日(月)

封切り三日目。
席数290の【CINE 4】の入りは八割ほどで盛況。


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荒川弘』は〔銀の匙〕の中で『御影アキ』に
「山の向こうにはキラキラした都会があると思っていた」と語らせ、
本編の主人公は「高い木の天辺に登れば、
誰も経験したことのない景色が見える」と語る。

何れも、新進の気鋭を持った、強い女性の姿だ。


スウェーデンの国民的歌手『モニカ・ゼタールンド』の成功譚。
しかし、その路は必ずしも平坦ではない。

英語ではなく母国語でJAZZを唄い、
本場のアメリカでも評価を得た嚆矢として、その名声は高いのだが、
私生活も含めて見た時に、
孤独から酒に溺れ、計算高い性格も災いし、
最愛の娘と離れて暮らさざるを得なかった一時期は
自分を認めさせるために必要だった時間とは言え、
彼女にとっては幸せだっただろうか。


元々ミュージシャンでもあり
何故かその路を諦めてしまった父親との辛い相克。

また、国内では圧倒的な人気を誇るのに
海外では評価を得られず、しかし、それに打ち勝つ為に
鉄の意志を持って挑み続ける凛々しい姿。

示された奔放さを凌ぎ、本作の観客は
何時しか彼女を応援する側に回ってしまう。
それ程の魅力が歌に向かう姿勢から溢れ出す。


海外進出の蹉跌が、本人の責に帰する理由ではなく、
最初のNYでの舞台は「時代」故に、
ヨーロッパ歌謡祭はスタッフの戦略故に
灰燼に帰すエピソードは、多少の脚色はあるにしろ、
我々も狐につままれた気にさせられる。

それだけに、成功を得た瞬間のカタルシスは大きく、
場内からはすすり泣きも聞こえた。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。


それにしても主演の『エッダ・マグナソン』、
残されている本人の写真に瓜二つで、
よくもまあここまで似せられたと、感心することしきり。

スウェーデン語が字幕の基本であり、
英語の科白が『 』付きになるなど、
伝え方の工夫も面白い。