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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

6才のボクが、大人になるまで。@TOHOシネマズ 川崎 2014年12月14日(日)

封切りから丁度一ヶ月。

席数76の【PREMIER】は満員。
上映館が少なくなっているせいだろうが、
かなりの集客。
選って来場した映画好きとも言えるかも。

だけれど、中途鼾が
多方面から聞こえた気がする。
まぁ、三時間近い長尺の作品だし、
物凄く強烈なエピソードがある訳ではないから、
仕方無いかも。
かなり悠久な時間の流れに感じるし。


イメージ 1


構想が極めて秀逸。
役者に実際に十二年分をリアルタイムで演じさせるという。

その時々の自分にほぼ忠実に演技できるので、
表現にムリが無く、
また極めて成長速度が早い(特に男子)、6~12歳の間を等身大で、
連続して演じさせたことが素晴らしい。


制作サイドもスタッフの変遷は勿論
(なのでエンドロールでも、他の作品よりも
たっぷりと名前が流れる)、キャストが
例えば不慮の事故に逢うとかの危険性は増すわけで、
ドキュメンタリーであればアクシデントが起これば
それはそれとして記録されるのだが、
本作はあくまでも脚本が存在するオハナシ、
その苦労は並大抵ではなかったろう。

多分、ストーリーの展開を考慮しながら、
複数の可能性も含め撮影したのだろうが、
そういった努力が十分に報われる作品となって結実した。


それにしても都度都度挿入される
「アソビ」の画がふるっている。
ゲーム機だけでも何世代を経ているのか。

コミニュケーション手段もケータイからスマホに変わり、
さながらデジタル文化のクロニクルを見せられる感慨がある。

勿論、それはアーティストにも及び、
直近では『レディー・ガガ』。一方、親の世代はといえば、
ビートルズ』から抜けきれないんだから、かなり笑えてしまう。


原題は〔Boyhood〕で邦題も比較的
的を得た表現になっている。

アメリカらしい、家族に起こる問題を盛り込みながら、
一人の少年~青年の成長を瑞々しく描ききっている。

しかし、観客の側が、特に自分達と同世代の人間が共感するのは
そこだけではない。

いみじくも、最後のシークエンスの前に主人公の母親が吐露するシーン。
離婚・再婚を繰り返しても、常に二人の姉弟は身近におき、
半ば一つのユニットの様に二十年近くを生きて来た身からすれば、
その感情の爆発は当然だろう。

その意味で本作は、一人の少年のみならず、
イマドキの家族の一つの成長譚でもあるわけだ。


それにしても十二年って歳月は、
少年の(勿論少女も)の顔つきや身体つきを
こんなにも変えてしまうんだね。
意図した上でのシェイプなのかもしれないが。

一方、大人の方はと言えば、意外と変わっていない。
確かに、*年ぶりにあった知人でも
面影が残っている、どころじゃないもんな。
全然変わっていない。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。

いや~、それにしてもアメリカって凄い国だ。

こんなに離婚・再婚を繰り返し、
更には法律的な親権の問題も絡んでくる。

元夫と今夫が会話をしている場面では、
年齢に差が有る筈なのに殆どタメ口(少なくとも翻訳の上では)。

複雑すぎて、着いて行けない。