RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

利休にたずねよ@109シネマズ川崎 2013年12月19日(木)

封切り二週目。

席数の72の【シアター10】は九割方の入り。
驚くべきはその客層で、
99%が中高年の女性。
それも複数人が連れ立っている。
男性の客は自分を含めて2~3人しかいない。

海老蔵』とか『團十郎』とか、
「歌舞伎」とか「親子共演」等の単語に
触発されてのことだろう。


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物語は、『利休(市川海老蔵)』が
『秀吉(大森南朋)』から切腹を言い渡された年から始まる。

『信長(伊勢谷友介)』とのかかわりや「楽家」との縁などが、
古い時代から順次語り起こされ、
タイトルに惑わされてしまうかもしれないが、
何のことはない、主人公の一代記。

どのようにして、自己の「美」意識を完成して行ったのかが
丁寧に描かれる。


主人公を演じる『海老蔵』の静謐さは
〔一命〕でのオープニングのそれを彷彿とさせるが、
どちらかと言うと、若い、やんちゃな時代の演技の方が、
彼の性向にはあっている気がする。


最終的な「美」の原点が、
若い頃の体験に起因しているとの描写は、
賛否の分かれるところだろうけど、
あくまでも史実を基にしたフィクションとして見れば、
眉を吊り上げる程でもないだろう。


他の登場人物については、
非常にステレオタイプな造形。

特に『三成』。
「三杯の茶」と呼ばれるエピソードを持つにしては
「茶」に対しての反発が強すぎる性格付けにされているのはどうか。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

美しい日本の四季と、更に美しい「茶」の所作を
余すところなくとらえた、カメラも素晴しい。

ただ、妻を演じる『中谷美紀』の立ち位置がかなり微妙で、
本編の語り部であり、もう一方の主人公であり、
更に、『利休』に一番「訊ねたい」人物でありながら、
その造り込みは、かなり浅い。