RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

悪の法則@チネチッタ川崎 2013年11月23日(土)

封切り二週目。

席数138の【CINE3】の入りは満席。

ただ「R15+」だけあって、
客層は高齢に振れている。

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前作の〔プロメテウス〕もそうだったのだが、
本作もかなり冒頭の部分で、肝心の部分は明かされてしまう。

惹句の「誰が一体”悪”なのか」なんて
全くの釣りに過ぎず、本筋はまるっきり別の所に在る。

「フーダニット」を期待すると、まるっきり裏切られる、
と言うコトだ。


『カウンセラー(マイケル・ファスベンダー)』(本作の原題)と呼ばれる弁護士が
二人の仲間『ライナー(ハビエル・バルデム)』『ウェストリー(ブラッド・ピット)』と
メキシコから麻薬を密輸する非合法なビジネスに手を染める。

婚約者の『ローラ(ペネロペ・クルス)』に、相応の暮しをさせたい一心からであった。

多少のリスクは伴うものの、
莫大な利益を生むはずであったのだが、
思わぬ綻びが発生する。


本編では、更に『ライナー』と同居する
全身に豹柄のタトゥーを刺れた謎の女性『マルキナキャメロン・ディアス)』が
ストリーに絡んで来る。

彼女が存在する意味は最初は謎だったのだが、
次第に重要な役割があることが判って来る。


それにしても、
監督の『リドリー・スコット』と脚本の『コーマック・マッカーシー』は
微塵の容赦もない。

主演級のハリウッドセレブ達が、次々と追い立てられて行く。

それは一種の非情さを伴い、
寒心に堪えないのだが、
その冷徹な眼差しが本作の眼目であるようだ。


とは言うものの、脚本自体はご都合主義で穴だらけ。
ホラー映画じゃああるまいし、
隠密裏に行動している人間の前に
そう簡単に現われることなんてできるもんかい。
それも相応の手段を講じた上で。


全編の殆どは、主要な登場人物達の背景を描くことに費やされる。
日常の何気ない会話やスタイルが、ゆったりとしたペースで流れて行く。

しかし、一旦ことが起こると、物語は急速に動き始める。

ここいら辺は「序破急」を思い出させる、
手練れの造りではある。


評価は☆五点満点で☆☆☆。


デュエリスト〕や〔エイリアン〕〔ブレードランナー
に通底するものが本作でも見られる。

要は、理由など無く、本能や宿命で、行動してしまう類いの人間も居る。
本作の定理は、そこに在る。