RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

アンコール!!@TOHOシネマズシャンテ 2013年8月14日(水)

席数190の【CHANTER-3】は
満員。

封切りから一ヶ月半経ってのこの入りは
たいしたもの。

表のポスターに貼られている様に、
今月末頃を持って終映であること、
勿論、本日が千円均一であったり、
お盆であったりすることも背景にはあるだろうか、
それにしても盛況だ。

客層は中高年の女性が圧倒的で、
男性比は一割以下。

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末期癌に侵された妻の意志を請け、
彼女が所属する合唱サークルに(乗り気ではなかったものの)参加した夫が
コンクールで歌い上げる。

物語の芯はこれだけ。到ってシンプル。

しかし、人物の性格を造り込み、膨らませることで、
九十分の短い尺ながら、
濃密な人生の機微を味わせてくれる佳作に仕上がった。


明るく社交的な妻、
内向的で朴訥な夫。

妻は人生を謳歌し、
生活の節々に楽しみを見出している。

一方、夫はと言えば、一人息子とも不仲で、
娯楽はたまに近所のパブに出かけ(物語の舞台はロンドン、なので)
同輩とゲームをする程度。

絵に描いた様に、性格の異なる二人だが、
なぜか家事の分担も含め、
家庭内での反りは合っている。

そんな風に長年連れ添ってきた二人だが、ある日
妻が末期癌で、余命数ヶ月の告知を受ける。

其処から夫の更なる受難が始まる。


夫を演じる『テレンス・スタンプ』も
妻を演じる『バネッサ・レッドグレーブ』も
随分と老いた姿を晒してはいる。
特に身体が元々小さい『テレンス・スタンプ』は
禿げ上がり方も含めて、いい味出している。
所謂、蚤の夫婦な感じ。


妻の所属する合唱団でのエピソードも、
最初は他人ゴトで、忌避すれば良かっただけなのに
やがて自分ゴトになったために、困惑する姿からして可笑しみを誘う。

勿論、指揮を執る音楽教師を含め
一癖も二癖もある群像を配し、最後まで厭きさせない。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

夫婦愛と、親子の感情のもつれ、
更には地域のコミユニティ間の諍いまで
一気に解決できてしまう歌の力は、
ややご都合主義の感はあるが、
場内は都度都度の哄笑や啜り泣きに満ちていた。

感情を大きく揺さぶられる作品って、
やはり素晴らしい。


ただ、邦題は正直良くないな。

原題は〔SONG FOR MARION〕