RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

少年H@109シネマズ川崎 2013年8月10日(土)

本日が封切り初日。

なのに席数246の【シアター1】は九割方の入りで
空席も散見される。

他のエンターテイメント作品が
軒並み満席なのを勘案すると、
時節柄の本作のこの入りは
少々、意外な気がする。

客層は幼児から老齢者まで、
ホントに幅広い。

また、シーン毎の反応から、
日頃映画館に来ない人達も多く居ることは
容易に感じ取れる。


イメージ 1


8月15日を狙った封切りは当然としても、
何故今になっての映画化なのかが釈然としない。

制作側もそれを意識してのことだろう、
実際の夫婦に役柄上でも夫婦を演じさせ、
更に共演は何十年か振り等のアオリをするのだが、
それ以外の話題性や、作品の出来についての絶賛は
とんと耳にしない。


神戸に住み、洋裁店を営む『妹尾』一家やその周囲で
戦前~戦中~戦後に起きた出来事が坦々と語られる。

その職業柄、
主人公の父が外国人と密に交流が有ったこと、
加えて母親が熱心なクリスチャンであることが
大きなポイントにはなっている。

しかし、ここでのエピソードの数々は、
我々はどこかで目にし、耳にしたことがあるものを
寄せ集めただけでしかなく、かなり手垢に塗れ、
取り立てての目新しさは無い。

挿話間の繋がりは殆ど感じられず、
ただオハナシだけが粛々と積み上げられ、
年が過ぎて行く。

唯一、大空襲を生き延びた主人公が
「誰も(防空訓練時の様に)消化活動なんかせず、
我先に逃げ出しだ」と語ったのは、
建前と本音を使い分ける日本人の特性を端的に表現して
出色の科白であったが・・・・。


評価は☆五点満点で☆☆☆★。

要所では笑いも起こり、
『降旗』演出はかなりこなれている。

また少年『H』の言動も、
大人になってからの『妹尾河童』に繋がる
片鱗を感じさせはする。


追記-
妹尾河童』のエッセイ類は殆ど読んでいる。が、
大ベストセラーではあるものの、
自伝的小説の体を取る原作本には
何故か食指が伸びなかった。