RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

イノセント・ガーデン@TOHOシネマズシャンテ 2013年6月14日(金)

封切り三週目。

席数201の【CHANTER-2】は三割程度の入り。
客層は中~高年が多く、
男性なら独りだけ、
女性であれば二人連れと
判で押したようなパターン分け。

終了時間を勘案すれば、
その後【銀座】で洒落たランチと
極め込むんだろうな、彼女達は。


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十八歳の誕生日に最愛の父親『リチャード(ダーモット・マローニー)』を
交通事故で亡くした『インディア(ミア・ワシコウスカ)』。
広い屋敷に、
反りの合わない母『イヴリン(ニコール・キッドマン)』、
少数の使用人と残される。
しかし、葬儀の日、
父の弟を名乗る『チャーリー(マシュー・グッド)』が現れ、
その日から三人の奇妙な同居生活が始まる。

謎めいた影を引き摺る叔父。
更には周囲の人達が、
一人また一人と消えて行く。

彼女の周りで、何が起こっているのか。


隙の無い映画だ。

オープニングのスタイリッシュなタイトルバック、
エンドロール、
カメラワーク、アップの多用、
影や陰影の使い方、
鏡等の小道具、更には
音に到るまで
ぴったりと嵌っている。


物語は、『チャーリー』とは何者なのかという謎に加え、
誕生日のプレゼントの箱に一つだけ入っていた
用途の判らない「鍵」を巡って進行する。

その間に主要な登場人物の人となりが説明されるのだが、
必要最低限の情報だけを、それも会話の中で仄めかす程度に
知らせることで、謎は更に深い迷宮に入った様に混迷する
(まぁ、全体的に、科白自体が極端に少ないんだけど)。


中盤以降、次第に仕掛けが見えだした後で、
エンディングには予想を裏切る結末が待っており、
加えてオープニングシーンの意味だてまで
きっちりと理解できる造りは、
初脚本ながら『ウェントワース・ミラー』の冴えだろう。

ただ、
ピースの様に散りばめられた伏線が次第に収斂していくさまは、
通常の映画であれば爽快感を伴うのだが、
本作に限っては不気味さが増して行く。


翻って考えて見れば、
(いや、実際は、それが提示された時には薄々と勘付いていたのだが)
原題の〔Stoker〕は、マスコミで話題のそれでは無く
主人公達の名字。

なので、本作は「血(脈)」をテーマにした作品であることが
初手から開陳されているわけで、
冒頭の場面で語られる『インディア』に備わった特異な能力も
それを補強している。

タイトルを替えた日本の公開サイドは、
ある意味慧眼だったかも。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

男性であれば、ありがちな性格付けながら
女性であるだけで随分と違った見え方になると言う、
これは一種アイディアの勝利だろう。

『トニー』と『リドリー』の『スコット』兄弟が
制作に名を連ねているのも
頷けるものがある。