RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

悪童日記@TOHOシネマズシャンテ 2014年11月8日(土)

~13日(木)で上映終了予定。
席数190の【CHANTER-3】の入りは二割程度。

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舞台は第二次大戦末期のハンガリー

双子の兄弟が戦火から逃れるため
田舎に在る母方の祖母に家に疎開させられる。

しかし、そこでの生活は、村人から「魔女」と呼ばれる祖母に
「働かざる者、食うべからず」と労働を強制され、
更には過去にあった母娘の確執のとばっちりも受け、
必ずしも捗々しいものではなかった。

そんな中で二人は自分達を厳しく戒め、
次第に逞しく成長する。

終戦までの二年弱の彼等の暮しが、
戦中ならではのエピソードと共に描かれる。


オープニングからして不穏な空気を内包している。

戦地から久々に戻って来た父親に兄弟は纏わり付く。
家族四人で囲む平和そうな食卓。
しかし、その場面でのBGMは、これから起こることを示唆するように
剣呑な選曲。
ここで我々は何事か、と行く先が不安になり、
事実そのムードはラストシーン直前まで通底する。


タイトルは、
父母と別れる際に、日々の勉強を欠かさないことと
毎日を記録するようにと日記帳を渡されたことによる。
彼等はその日の出来事を克明に残して行く。

そしてやはりタイトルにあるように
次第に「悪」に染まって行くのだが、
それはけして二人が望んだわけではない。
周囲の大人達や環境が勝手に変えたのだ。

「魔女」の二つ名をもつ祖母を蔑みながらも一方で恐れる村人、
離れに逗留している男色のドイツ軍将校、
生きるために盗みや嘘を平然と重ねる隣家の少女、
祖母も勿論であはあるが、
本来であれば二人を無条件に愛する存在である両親、
多彩な人々が次々と異なる影響を与え、
都度異なる反応を連ねて行く。

そして疎開先が国境間近の村であるため、すぐ傍に在る強制収容所
起きることをも日々眼にしてしまう。

そういったことが積み重なりながら、
平時であればそうはならなかったであろう性格に
次第に変容して行く姿は、ちょっとのもの悲しさと
反面の剛さをも孕み、観客の側がどぎまぎとしてしまう。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。

最後の一連のシークエンスは、
(当初から語られている)兄弟の絆の強さを再確認する重要な場面。

非情さを持ちながらも生き残り、血を残す確率がより高い方に賭ける。
人間らしい本能をそこに見る。