この時期の映画館は何処もお子連れで長蛇の列。
券売窓口の前の並びも凄く、
携帯で(チケットが)取れた・取れないと
連絡を取り合っている。
券売窓口の前の並びも凄く、
携帯で(チケットが)取れた・取れないと
連絡を取り合っている。
にもかかわらず
席数129の【CINE 2】は二割程度の入りと
かなり寂しい。
席数129の【CINE 2】は二割程度の入りと
かなり寂しい。
まぁ、封切り三週目で、上映されているのは
(現時点で)首都圏では三館のみ。
オマケに、朝イチ一回だけの上映とくれば
人気のほどはうかがい知れる。
(現時点で)首都圏では三館のみ。
オマケに、朝イチ一回だけの上映とくれば
人気のほどはうかがい知れる。
しかし本作、事前情報も何も無しに観たわけだが、
凝った造りと、サスペンス映画にも近い味わいに
驚嘆させられてしまった。
凝った造りと、サスペンス映画にも近い味わいに
驚嘆させられてしまった。
オープニングからして素晴らしいのだ。
空港に着いた男とそれを出迎える女。
二人の間には透明なガラスの仕切りが立ちはだかり
お互いに何を言っているのかさえ聞き取れない。
二人の間には透明なガラスの仕切りが立ちはだかり
お互いに何を言っているのかさえ聞き取れない。
男は『アフマド(アリ・モサファ)』。イランに離れて済む
『マリ』の夫で、離婚手続きの為、パリに呼び戻される。
『マリ』の夫で、離婚手続きの為、パリに呼び戻される。
駐車場に向かう二人を突然の雨が襲う。
逃げ込む様に車に飛び込み、ワイパーを動かし発進させる。
リアウインドウに、映画の原題〔Le passé〕が重なり、
その文字がワイパーの動きと共に次第に消されて行く。
逃げ込む様に車に飛び込み、ワイパーを動かし発進させる。
リアウインドウに、映画の原題〔Le passé〕が重なり、
その文字がワイパーの動きと共に次第に消されて行く。
う~、すげ~。
これで一気に、本作の世界に引き込まれてしまった。
これで一気に、本作の世界に引き込まれてしまった。
そして、この冒頭の数分だけで、二人の関係性と
物語の主題が雄弁に語られている。
物語の主題が雄弁に語られている。
簡素に見えて、実は濃密な数分なのだ。
やがて到着した家には
二人の娘と
再婚相手とその息子が同居しており
ただでさえ不穏な空気が漂うなか、
『アフマド』が来たことで更なる波紋が
次第に大きな波となって広がって行く。
二人の娘と
再婚相手とその息子が同居しており
ただでさえ不穏な空気が漂うなか、
『アフマド』が来たことで更なる波紋が
次第に大きな波となって広がって行く。
最初は結婚生活が上手く行かなかった夫婦の
小さな諍いがまた繰り返されている
程度にしか見えなかった関係が
物語の中途から俄かに新なる様相を帯びだす。
小さな諍いがまた繰り返されている
程度にしか見えなかった関係が
物語の中途から俄かに新なる様相を帯びだす。
そして、ここ一年の出来事や
互いの吐露する本心に、次々と違う角度から光が当たりだし、
我々は最後に、当初とはまるっきり異なる事実と思いを目の当たりにする。
互いの吐露する本心に、次々と違う角度から光が当たりだし、
我々は最後に、当初とはまるっきり異なる事実と思いを目の当たりにする。
評価は☆五点満点で☆☆☆☆。
余韻の残るラストシーンは
人によれば、もやっとしている、と
感じるかもしれない。
人によれば、もやっとしている、と
感じるかもしれない。
しかし、正解の無い人生と同様、
どちらとも取れるこれで
良いのだと思う。
どちらとも取れるこれで
良いのだと思う。
観る側の希望が、
そのまま解釈になって行くのだから。
そのまま解釈になって行くのだから。