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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ヴァンパイア@チネチッタ川崎 2012年9月23日(日)

席数290の【CINE4】は二割程度の入りで
かなり寂しい。

客層は、如何にも『岩井俊二』好きな
スノビッシュな風体の、しかもカップルが
かなり散見され、でも、おいおい、あんた達、
それ以外の監督作品を観には、映画館には来ないでしょ、
といった素行だが。

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高校の生物学の教師『サイモン』は
自殺願望の有る若い女性に接触しては、
一緒に死ぬことを持ちかけ、
その実、彼女らの血を全て抜き取りコレクション、
自分は「後を追う」と言いながら、
逃げ遂せる、一種シリアルキラーに近い
裏の顔を持つ。

そんな彼にNet上のコミユニティで付けられた二つ名が
タイトルにもなっている〔ヴァンパイア〕。


よって本作は、他の吸血鬼映画とは様相を異にし、
シーンの殆んどが昼間。
しかも、それは、同監督特有の、
淡い・柔らか光に包まれている。

我々が感じ取れる画面の濃度も独特で、
リリイ・シュシュ〕で描かれえた「エーテル」の
存在さえ感じられ、
犯される罪でさえ、優しげに見えてしまう。

一方、夜のシーンは、
主旨を違えるサイコパスの色に染められ、
その時のトーンや行われる行為も禍々しい。

また、主人公が唯一「幇助」を犯さない場所の設定も特徴的で
窓は無いのに空は有る。

してみると、彼が認知症の母親に施す浮遊装置も意味深だ。

全編が特色の有る空間で仕切られている。


物語は、繰り返される行為と、
ひょんなことから知古となる警察官とその妹、
吸血気取りのバイ、
そして次々と現れる自殺志願者が入れ乱れ、
緩やかに終局へと向かう。


切なささえ感じさせるラストではあるが、
辿り着いた情愛の感覚と、
犯罪(「自殺幇助」の犯罪性については是非が分かれるだろうけど)からの開放という、
実は彼にとって二重の救済になっている。