RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

画心展@佐藤美術館 2012年4月15日(日)

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サブタイトルには「-京都造形芸術大学日本画 selection vol.2-」とある。

計二十五名が出展。

さてその中でも

『幸田史香』の〔春のとなり〕
にグッと来た。
水仙が咲き乱れる横長の画面。
左隅には花に隠れ、先に居る獲物を狙っているのだろうか、
抜き足差し足で近づこうとする黒猫が描かれる。
美しい黒い毛皮の下には俊敏な筋肉が存在し、
おそらく次の瞬間には、一気に張り詰め爆発し、
大きな跳躍を見せるであろう、直前のしなやかな一瞬を
美しく描きとめている。
画中には存在しない狩りの対象の存在も、
想像を逞しくさせる。


佐々木由香』の〔君死に給ふことなかれ〕
も、同様に動物を描いた作品だが、
こちらは画面一杯に力強さが横溢している。
まさしく渡河を始めようとする
大型の草食動物(「ヌー」とか)の群れ。
激しい水しぶきが上がり、
しかし
ある者は流され
ある者は溺れ、
ある者は仲間に踏みつけられ、
ある者は鰐に襲われ、
命を失くすのだろう。
向かう先の余白にはそういった困難さが予見される。
が、それらを蹴散らすほどの
肉の盛り上がりと、一本一本丁寧に
しかも躍動感をもって描かれた毛の描写も素晴しい。


長野で開催される同展では
300円の入場料がかかるところを
本美術館では無料。
加えて図録も頂ける。
全くもって有り難い。

本日が最終日であったのだが、
自分が居た時間帯での
他の来訪者はゼロと少々淋しい。

結構、粒揃いの展示内容だっただけに、
つくづく勿体無いと思う。