RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い@109シネマズ川崎 2012年2月19日(日)

公開二日目というのに、
席数345の【シアター6】は「エクゼクティブシート」を中心に
三割程度の入り。
「アカデミー」候補ではあるものの、
あまりウケなさそうな内容の映画であることは確か。

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ニューヨークに住む10歳の少年『オスカー(トーマス・ホーン)』は
父(トム・ハンクス)が出す課題に
多手法を用い解決する「調査探検」に夢中である。

が、そんな幸せも、あの「911」により突然断ち切られてしまう。
父親が「WTC」の中で行方不明になったのだ。

残された母(サンドラ・ブロック)とは、一年を経ても
心を通わせられないでいるある日、『オスカー』は
父の遺品の中から、一本の鍵を見つけ出す。

これが、最後に出された課題「失われたニューヨークの第6区を捜せ」
のヒントとなるメッセージと感じた少年は
ニューヨーク全域に広がる調査を開始する。


なるほど、作品賞にノミネートされるだけあって
脚本は良く練られている。

幾つかの伏線も張られ、
父親が『オスカー』に「調査探検」をさせていた理由や、
911」当日の出来事についても次第に明らかになっていく
語り口は見事。


また、少年が訪問する先々で見聞し体験することは
全て現代のアメリカが抱える病理のオンパレード
(勿論、彼自身の”特質”もそうなのだが・・・・)。

実はタイトルそのものが
少年が感じ取る世界を現していることも、
やがて気付くことになる。

それらが、終章に向かい、温かく氷解していく描写の数々は
感動さえ生む。


特異性を顕わにする少年の言動に
最初は感情移入できないが、
次第に、彼の心の再生と共に
我々は共感さえも持つようになる。

人が醸し出す温かさや優しさを
しみじみと感じ取ることができる一作。


助演男優賞にノミネートされている
祖母のアパートの「間借り人」(マックス・フォン・シドー)の演技が
極めて秀逸。