RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

告白@チネチッタ川崎 2010年7月11日(日)

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キャパ290席の【CINE4】は、最前の4列を除いて
ほぼ満席。
封切り後一ヶ月以上経つと言うのに、大層な入りである。
客層は若年の団体が多いか。
しかし、この映画、確かR15+だったと思うのだが、
外見U14の入場者が散見される。
いいのか?これで。


とある中学校の終業式。
一年B組の担任教師『森口悠子(松たか子)』は、
今日を以って退職することを告げた上で衝撃的な内容を話し出す。
自分の幼い娘は、実は事故ではなく、殺人で亡くなったこと。
また、その犯人は、このクラスに在籍している37人の内の
二人であること。


事前の告知内容を鵜呑みにして、教室という閉じた世界での
密室劇を想定していた。
犯人探しが主眼で、カットバックで過去事実が挿入され、
最後に犯人が示唆されると言う心理劇。

しかし、良い意味で、この予想は裏切られた。

何と言う展開!

殺人犯は、最初のパートではっきり特定され、
『森口悠子』の「告白」もあっさりと終了してしまう。

へっ?この後どうなるの?

待っていたのは、執拗な復讐譚。
幾重もの罠を仕掛けて、我々の前に提示される。
どこまでが虚であり、どこまでが実であるのか。
それは、ご都合的な展開を蹴飛ばす程の疾走感に満ちている。

思わぬ方向性に打ちのめされるし、
ある種の嘔吐感や眩暈さえ覚える。

しかし、復讐する側、される側、その根底にあるのは
生きていることや生への漠然とした虚無感と無知・無関心。
おそらく、「今」という時代の空気を敏感に掬い上げている。

松たか子』は一方で熱く、片方で醒めている
正気と狂気の彼岸を演じ、素晴しい。