RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

没後80年 岸田劉生-肖像画をこえて-@損保ジャパン東郷青児美術館 2009年6月27日(土)

入場料は1,000円だが、ディスカウントで450円で購入、満を持していた。
ところが、昨夕の「NHK首都圏ネットーワーク」で取り上げられ、
こりゃいかんと思っていたら、案の定、会場内はかなりの混雑。
間が悪いったらありゃしない。しかも殆んどの人が招待券持ってるし。

イメージ 1

”首狩り”と言われるほど肖像画を多く描いた人だが、80点も集まると壮観。
しかも時系列に並べてあるので、画風の変化がよく判る。

まずは1910年代の自画像。
同じ年に描かれていても、タッチが激しく異なっている。
ゴッホ』風の作品から始まり、『セザンヌ』の影響を感じるもの
(cf:横浜美術館のセザンヌ展)まで。
そして表現手法は次第に”リアル”になっていく。
それを周囲の人の、写実的な肖像画で見せている。

1920年代になると”デフォルメ”。
顔が身体に対して大きく描かれ、何と無くユーモラスだ。

そして、一連の〔麗子像〕。
同時期の本人の写真も展示され~勿論、描かれたような顔ではない。
少しふっくらとはしているが、十人並み以上の面立ちだ~画面の上で、
どのように変化したのかが比較できる。
写実的な表現から『寒山』を引用し誇張したものまで、
自分の娘をモデルに様々な表現を試していたことが良く判る。

また、展示品の中で、最も写実的と思える〔麗子坐像〕は、
『智内兄助』が描く愛娘の絵と通ずるものを感じた。
この絵の中の『麗子』は特に愛らしい。


〔麗子像〕は有名だが、今回の展示が肖像画を主としたものだったので、
さほど一般受けはしないと思っていた。
それは、ディスカウントの売値が物語っている。
それが、こんなに人が来てしまうなんて、
つくづくマスコミの力は恐ろしい。