RollingStoneGathersNoMoss健啖部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、健啖部の活動報告。文化活動履歴の「文化部」にも是非お立ち寄り下さい

メイジーの瞳@TOHOシネマズシャンテ 2014年2月14日(金)

東京は先週に続き朝からの雪。
歩道にもうっすらと白く積もっている。

席数190の【CHANTER-3】は30人程度の入りで
かなり閑散としている。

ま、先週の交通機関のマヒが記憶も新ただから、
外出を控えるのも無理はない。

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折り合いの悪かったロックシンガーの母『スザンナ』と
アートバイヤーの父『ビール』が離婚し、親権が分断されてしまったため、
娘の『メイジー(オナタ・アプリール)』は夫々の家で十日ずつを過ごす
変則的な暮らしを余儀なくされる。

そうこうしている内に、父親は『メイジー』のシッターだった『マーゴ』と、
母親は若いバーテンダーの『リンカーン』と(あてつけの様に)再婚するが、
何れも親権の裁判を有利に、加えて『メイジー』の面倒を見させるのに便利だから
と言う、自己都合に満ちた理由からだった。

一見、平穏そうに見えたその暮しは、
両親の仕事が多忙を極めて来た事から、次第に綻び始める。


アメリカ版の〔そして父になる〕と言ったところか。

愛情や濃やかな情交が血縁に依らずとも成立し得ることを
現代的なアメリカの病理を見せながら、
しかし大上段に振りかぶることなく
丁寧に描いている。

〔クレイマー・クレイマー〕を始めとして、
子供と親の関係性を描いた映画は多いが、
そんな中で本作は、血の繋がりが一切無い三人が、
疑似的な家族を形成する関係性が面白い。

しかし、夫婦と言えど元は他人。
更に養子をとることを考えれば、
注がれる愛情は、必ずしも血の濃さに依らずとも
過ごした時間の長さに左右されそうなことは
容易に想定できはする。


両親の愛情は、頻繁にハグしたりキスをしたり、
「愛している」と言ったり、玩具を多く買い与えたりと、
西洋人らしい大げさな表現に満ちている。

しかし、その実態は、子供が傍にいる時だけの
かなりご都合的主義なもの。
ペットを猫っ可愛がりすることにさも似たりで、
見ている方が、むくむくと疑念さえ持ち始める白々しさ。

じゃあ、ホントの愛情ってなんなのさ、
子供にとってホントに良いことってなんなのさ、
と考えた時に、共に過ごす濃密な時間の重要性が
必然のものとして立ち上がって来る。


評価は☆五点満点で☆☆☆☆。

カメラは低く構え、子供の視線を意識したもの。

アップの多用も、僅かな表情の変化を掬い取ると共に、
幼い子供が最も注視する場所を印象的に見せる為の工夫だろう。