封切り二日目。
しかし
席数246と大き目の【シアター1】の入りは二割程度と
かなり寂しい。
「R15+」が付いているので
少年少女はいないのだが、
カップルが居たり、高齢の女性の二人連れが居たりと
客層はバラバラ。ただ、文学好きだったり
映画好きだったりの面構えではある。
席数246と大き目の【シアター1】の入りは二割程度と
かなり寂しい。
「R15+」が付いているので
少年少女はいないのだが、
カップルが居たり、高齢の女性の二人連れが居たりと
客層はバラバラ。ただ、文学好きだったり
映画好きだったりの面構えではある。
なので、その点での興味は既に無く、
監督と脚本家がどのように描いたのかの一点に
収斂してしまうのだが、
この種の記事を掲載する際には
「ネタバレあります」の断わりが欲しいところ。
監督と脚本家がどのように描いたのかの一点に
収斂してしまうのだが、
この種の記事を掲載する際には
「ネタバレあります」の断わりが欲しいところ。
しかし、実際に画面が映写され出した途端に、自分は
あっという間に、物語世界に引き込まれてしまった。
あっという間に、物語世界に引き込まれてしまった。
それ程までに本作は、語り口に長けている。
事の最中に、女性に暴力をふるう父親『円(光石研)』。
それを忌避し、家を出て河の対岸で魚屋を営む左手の無い母親『仁子(田中裕子)』。
『円』にかき口説かれ、妻のいない家に同居するスナック勤めの女『琴子(篠原友希子)』。
それを忌避し、家を出て河の対岸で魚屋を営む左手の無い母親『仁子(田中裕子)』。
『円』にかき口説かれ、妻のいない家に同居するスナック勤めの女『琴子(篠原友希子)』。
しかし、やがて『遠馬』は、
自分に流れている父親と同じ血脈を感じ、
畏怖し出す。
それは止められない暴力の衝動。
自分に流れている父親と同じ血脈を感じ、
畏怖し出す。
それは止められない暴力の衝動。
嫌いながらも、父親と似た行動を取ってしまう自分を
理性では抑えられない。
理性では抑えられない。
周囲の四人も、暗黙の内に、
ある者は楽しみながら、ある者は恐れながら
そのことが発露する瞬間を見極めようとしている。
ある者は楽しみながら、ある者は恐れながら
そのことが発露する瞬間を見極めようとしている。
単にDVと言うだけでは済まされない
禍々しい「血脈」の描写がここにはある。
禍々しい「血脈」の描写がここにはある。
女三人・男二人の抜き差しならない関係が
終焉に向かい転がり出す。
終焉に向かい転がり出す。
しかし、最後には、
一見虐げられていたかに見える女性の力が
奔流の如く解き放たれる。
一見虐げられていたかに見える女性の力が
奔流の如く解き放たれる。
惜しむらくは、
「血」の成せる技に収斂するだけでなく、
地域の閉塞感や、四十年を過ぎた戦争の帰結にまで言及することで
(勿論、物語の背景上、それらが必要なのは承知の上で)、
焦点が拡散したことだろうか。
「血」の成せる技に収斂するだけでなく、
地域の閉塞感や、四十年を過ぎた戦争の帰結にまで言及することで
(勿論、物語の背景上、それらが必要なのは承知の上で)、
焦点が拡散したことだろうか。
評価は☆五点満点で☆☆☆☆★。
体力では勝っても、
暮らして行く上では
男は女に所詮勝てはしない。
暮らして行く上では
男は女に所詮勝てはしない。
その悲しい力学を
改めて思い知らされた。
改めて思い知らされた。
スタイリッシュではない
情念に彩られた、女と男のどろりとした一節である。
情念に彩られた、女と男のどろりとした一節である。